インタビュー【後編】

親が企業説明会に乗り込むことも……なぜイマドキの父母は“わが子の就活”に精を出すのか?

2018/05/04 18:00

――具体的に、保護者はどんなサポートをしているんですか?

齋藤 企業や就活スケジュールなどの情報収集のほか、説明会の申込み代行も多いですね。企業説明会は予約開始から5分足らずで満席になることも少なくありません。また、一部企業では説明会に参加しないと本選考を受験できなくなってしまう企業も存在します。そのため、予約開始時間はほかの企業説明会に参加しているなど、子どもが即座に申込みできない状況のときに保護者の方が手続きを行っているようです。

 昨今の就活は、学生1人ではやりづらい環境になってきています。なので、保護者の方のサポートは、親離れ子離れできていないというよりも、情報や就活自体の多様化で、難易度が上がった結果なのではないかと感じます。保護者の方が相談されたときに「おまえが一番わかっているだろ」と突き放したら、実は学生自身よくわかっていなかったということもありますから。

親の就活サポート「やっていいこと」「悪いこと」

――齋藤さんご自身は、保護者の就活介入には賛成でしょうか? 反対でしょうか?

齋藤 賛成でもあり、反対でもあり……といったところです。お子様の後方支援をするスタンスであれば、サポートは必要だと思うのですが、親が望む方向へ導いたり、押し付け的なアドバイスをしたりするのはよくないと思います。サポートで重要なのは、子どもの自主性を尊重することと、選択肢を与えて自発性を促すことなのですが、できていない親御さんは、正直言って多いです。


――よくない保護者の介入の仕方とは、具体的にどんな感じですか?

藤 企業説明会に保護者の方が乗り込んでいく……なんて話も聞きますが、印象が悪くなるだけなので絶対辞めた方がいいですね。また、よく見受けられるのが、やることを全て指図したり、本人の意向を無視してエントリー企業を決めてしまったりと、首を突っ込みすぎてしまうケース。少しでもいい企業に入ってほしいという気持ちはわかりますが、本人に行きたい気持ちがなければ、結局は面接で熱意が伝えられずに落ちてしまいます。

 それから、行かせたくない企業に関しては、悪い面しか伝えないなど、情報が偏っていたり、また、伸び盛りの企業を知らず、保護者の方の定義での“いい企業”を勧めたりするのもよくないですね。あともう1つ、面接のアドバイスをする際、マナーや常識に沿いすぎることを言って、子どもの個性を失わせてしまったり、ダメ出しをしすぎて、子どもが自分の考えを述べられなくなってしまったりというケースもあります。それで就活が難航したら元も子もないです。

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