アラーキー告発で「モデルの弱い立場」浮き彫りに――業界のセクハラ横行が問題視されにくい理由
世界的に有名な写真家・アラーキーこと荒木経惟氏の“元ミューズ”であるKaoRi氏が、ソーシャルメディアプラットフォーム「note」に「その知識、本当に正しいですか?」というタイトルで、荒木氏への告発文を掲載し、世間の関心を集めている。
KaoRi氏は、荒木氏の被写体を務めていた2001~16年にさまざまな苦痛を経験したといい、その詳細を一つひとつ綴っているが、そもそも最初に違和感を覚えたのは、契約書がなかった点だったようだ。KaoRi氏いわく「それまで海外で一緒に活動したフォトグラファーたちは毎回、撮影同意書があり(中略)出版する場合にもその度ごとに同意書や内容確認が求められていました。ロイヤリティーに関して記載があるものもありました」とのことだが、一方で荒木氏とはこういった契約を一切結ばなかったという。
それが影響してか、「撮った写真は、事前の報告もなく、いつの間にか私の名前をタイトルにした写真集やDVDにもなり出版され、世界中で展示販売されてゆきました」「撮影は、報酬を得ていたこともありましたが、パフォーマンスなど、無報酬のことも多々ありました」といった事態に発展。
また荒木氏に「『ミステリアスで、なんでもする女』というようなイメージを公に晒されたことによって、日常生活は長い間、ストーカー被害に悩まされ」るなど、KaoRi氏の日常はどんどん蝕まれ、「あまりのストレスに、街中や飛行機の中で意識を失って倒れたことや、目を閉じたら殺されているかもしれないと身の危険を感じた日も少なくありませんでした」と当時を振り返っている。
こうしたKaoRi氏の告発には、「モデルの地位はなぜこれほどまでに低いのか?」「モデルは写真家に搾取されるだけの存在に見えてしまう」といった指摘が出ているが、その背景について、弁護士法人ALG&Associatesの山岸純弁護士が次のように解説してくれた。