サイゾーウーマンカルチャーインタビュー吉本新入社員の退職理由はパワハラ? カルチャー メンタル・ジャーナリストの大美賀直子氏に聞く! 吉本興業の新入社員「お前呼ばわり」で退職――悪いのはパワハラ上司? “豆腐メンタル”の新人? 2018/04/04 10:00 インタビュー ビジネスの場ではふさわしくない“お前呼ばわり” 大美賀氏はストレスやメンタルコントロールに関する著書の執筆・監修を多数されており、精神保健福祉士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタントの資格を保有している。また、カウンセラー、研修講師としても積極的に活動している、いわば“こころ”のプロフェッショナル。セクハラやパワハラ、モラハラなどのハラスメント(=いじめ、嫌がらせ)には心がどう感じるかが密接に関係しているので、この問題に対しまさに適役と言えるだろう。 そんな大美賀氏に今回の騒動を説明すると、「どのような状況で言われたのか、継続的に言われていたのかなど、細かな情報がないとパワハラかどうかをコメントすることはできないのですが……」と前置きしつつも、「一般的には会社というビジネスの場で『お前』という呼称はふさわしくないですね」ときっぱり言い切った。 「ビジネスの場に限らず当たり前のことですが、『相手の尊厳を傷つけていないか』という配慮は人として基本中の基本です。ましてや、『職場』は多様な価値観を持つ人が働く場です。『吉本だからよい』『この会社の慣習だから仕方がない』ということではなく、職場においては業務の適正な範囲を超えて人に精神的な苦痛を与える言動は、パワハラになります」 つまり、どのような状況下、どのような頻度や程度でその言動が行われたのかを総合的に判断しないと、パワハラと言えるかどうかはわからない。しかし、言われた人が苦痛になる呼び方を何度も繰り返されて、退職を考えるほど不愉快になっていたのであれば、パワハラの可能性が考えられるということだ。 女性社員への“ちゃん付け”も問題 では、実際に職場での呼び方がパワハラやセクハラになったという事例はあるのだろうか? 裁判例情報によると、パワハラと認められた事例の中に、“呼び方”が関わっているものも散見された。2009年には、佐川急便で働く男性が上司から「お前なんかいらない」という言葉を受け自殺した一件が大きく報じられた。 この件では「お前」のほかにも「社内放送では名前を呼び捨て」「名簿から名前を消される」など、呼び方や名前に関わる多くの問題発言や行動があり、さらには激務による過労や飲食代を払わされるなどの金銭的トラブルなどもあったという。 また、10年には、部下に“ちゃん付け”をしてメールを毎日送ったとして、福井大学の男性職員が停職2カ月の懲戒処分になっている。被害者は、仕事とは関係のないメールが毎日上司から送られてくるというストレスとともに、“ちゃん付け”にもストレスを感じていたのではないかと推測できる。こうした情報を読むと“たかが呼び方”と啓記すような考え方は間違いだということを強く印象付けられる。 次のページ パワハラ加害者にならないために意識する境界線 前のページ123次のページ Amazon どうして会社に行くのが嫌なのか (アスキー新書 026) 関連記事 ジャニーズ子会社役員、自殺の背景――元関係者語る「土下座」「深夜3時の電話」のパワハラ体質“伊調馨パワハラ騒動”を報じる「女性自身」の意味深すぎる“吉田沙保里”情報テレビ業界の異常なセクハラ、年収1000万円作家のウラ側……「女性放送作家」座談会ハリウッド権力者の“セクハラ”事件にベン・アフレックの声明に「てめぇもだろセクハラ野郎」の声加藤綾子アナの“Eカップイジり”に「テレビ界は異常」の声――「セクハラ炎上」多発のフジ