【連載】オンナ万引きGメン日誌

オンナ万引きGメン日誌:中年男性が盗った――! 恐怖と興奮に震えた“初現場の思い出”

2018/04/14 16:00
supacyzowoman
Photo by Dick Thomas Johnson from FLickr(写真はイメージです)

 万引きGメンになるための4日間の研修を経て、現場勤務の初日。この日は、犯罪特番に出演したこともあるベテランの男性保安員について、独り立ち前のインターン研修を受けました。研修場所は、東京23区でも犯罪発生率の高い地域にあるショッピングモールA。地下に食品売場、1階に衣料品、2階に化粧品売場、3階に日用品売場、4階に玩具売場や書籍売場、5階にゲームセンターやレストランを要する、典型的な造りのショッピングモールです。

 店の裏側にある従業員専用出入口の前で先輩と合流したあと、入館手続きを経て総合事務所に向かい、店長さんに挨拶を済ませると、早速勤務が始まります。ちなみに、店長や担当マネージャー以外の従業員に、私たちが挨拶することはありません。保安員の導入は、内部不正の摘発も兼ねることから、責任者しか知りえない秘匿事項なのです。そうはいっても1日中店内にいるので、勤務終盤にもなればバレてしまいますけどね。

 この日の勤務は、午前11時から午後7時までの8時間で、そのうちの1時間は休憩をいただけます。昼の時間帯は、客数の多い食品売場を中心に警戒するのがセオリーなので、ランチを求める主婦の気持ちで、食料品売場を巡回することにしました。気持ちを作ることで気配を消すことができると、先輩に教わったのです。

「この店は多いから、今日も何かあると思うよ。何かあったら呼ぶから、遠巻きについておいで」

 優しげな顔で自信たっぷりに言う先輩を頼もしく思いながら、万引きする人なんて本当にいるのかなと疑心暗鬼な気持ちでぶらぶらと巡回していると、入店から数分後、表情を変えた先輩から手招きされました。


「あの男、いまやってるから、自分の目で現認してみな。何を、どこに隠したか、はっきり見るんだよ。絶対に目を合わせないように。それだけは気をつけて」

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