貴乃花親方の降格処分で明らかになった意外な部分
――毒舌コラムニスト・今井舞が、話題のアノ人物やアノニュースをズバッとヒトコトで斬り捨てる!
◎庭には二羽鶏……
「毎月28日はにわとりの日」というケンタッキーのCM。にわとりの日……。何かこう原材料感がすごくて生々しいというか。命をいただいている、という自覚を促す、道徳的にはいい機会なのかもしれないが。「わー、今日は28日だからにわとりの日だぁ、お得なセット買いにケンチキ行こー♪」という喚起にはなかなか。祥月命日か。
◎大逆転劇
貴乃花親方、全面降伏。いやー、「超高速出勤早退」の奇行を繰り返していた、つい先日の異様なまでの頑なさは、そういう「損得」で覆るようなシロモノじゃないように見えたが。職を失おうが人の目にどう映ろうが、自分にしか見えない道を突き進む。不撓不屈、不惜身命。よくも悪くも、それが貴乃花だと思われていたのだが。コロッ。いや、だからそれが悪いこととは言わないが。ただただ意外。「えー、謝れるんだ」という部分にも驚いたが「てことは、自分が取ってた行動が『奇行』だって自覚はあったんだ」って点が何より。ますます五里霧中。
序列80人に抜かれ、委員から年寄へ。いろんな意味で、計り知れないダンジョンに行ってしまった貴乃花。3カ月で5階級降格。逆藤井六段か。
◎こっちも事件
3年ぶりの放送だというのに、なぜ、よりによってヒロインに上原多香子。「あの件」以降、どこも全く起用してないというのに、なぜ、突然「浅見光彦シリーズ」に。原作者の内田康夫が亡くなってすぐという点でも、いつもより注目されてしまったわけだが。
話のつるつる感、出演者のレベル、セットにかける金のなさ等々を見るにつけ「いろいろ声かけたけど、スケジュールを考えるともう上原多香子しか……」という消去法での登用だったような気がしてならない。その放送局、フジテレビにつき。今後の流れによっちゃ、「月9ヒロイン、上原多香子に決定!」なんて可能性もゼロとは言えんな。
「私が気をもたせるようなことをしなければ」「私の周りの人はみんな……」と言いながら、棒のようにさめざめと泣く上原という画ヅラは、ある意味嫌がらせ。ヒロインハラスメントにめげず、もらった仕事は有り難くいただき食いつなぐ上原多香子。早すぎる余生は、まだ始まったばかりだ。
今井舞(いまい・まい)
週刊誌などを中心に活躍するライター。皮肉たっぷりの芸能人・テレビ批評が人気を集めている。著書に『女性タレント・ミシュラン』(情報センター出版局)、近著に『気になる「あそこ」見聞録』(新潮社)がある。