「産まないという選択肢はなかった」W不倫12年、“彼”との子どもを育てる女の決意
20年近く不倫の取材をしてきたが、このところ「長期不倫」の話を本当によく聞く。短くて8年、あとは12~15年くらいが多い。W不倫の女性にとっては、案外、合理的な関係ではないかと思う半面、独身の場合は「子どもがほしい」「結婚したい」気持ちにどうやって折り合いをつけているのかが気になる。長期不倫の女たちの声を全7回で聞いていく。
(第1回:「出産リミットが見えて焦りが」長期不倫8年目、結婚と出産願望で揺れる38歳の岐路)
(第2回:「40歳を迎えてラクになった」19歳から10年不倫を繰り返した女の、結婚・出産願望)
既婚女性の中には不倫相手の子を産んでしまう女性が少なからずいると、産婦人科医から聞いたことがある。リカさん(46歳)もその1人だ。
29歳のとき、社内恋愛で同い年の男性と結婚。すぐ一男に恵まれた。仕事を続けながら、32歳で女の子を出産。
「大変だったけど夫と協力しながら育ててきました。部署は違うけど夫と同じ会社だったからお互いにスケジュール管理しやすかったですね」
ときには両方の両親やきょうだいまで動員しての子育てだった。みんなで賑やかに育てたいというのがリカさんの思いだったから、夫や自分の友だちもよく家にやってきて、知らない間に子どもたちと仲良くなっていることもあったという。
「下の子が2歳のときですね、彼と知り合ったのは」
その“彼”、ダイキさんは夫の学生時代の後輩で、就職してからいろいろな地域に転勤、当時、本社に戻ってきていた。
「『先輩、お久しぶりです』ってやって来たダイキを見たとき、知らない人なのになんだか懐かしいような気持ちになったんですよね。ダイキは私たちの結婚式のときも仕事で来られなかったんですが、夫が学生時代にかわいがっていた後輩だということは聞いていました。それにしても、あの懐かしい気持ちはなんだったのか……」
あとから聞けば、ダイキさんも似たような気分になっていたのだという。
何度も顔を合わせるうちに
それからダイキさんは、たびたびリカさん宅を訪れるようになった。当時、リカさんが34歳、ダイキさんは30歳で独身だった。
「しばらくして、ダイキが結婚することになって。これからは家族ぐるみで付き合えるねって話していたんですが、結婚直前、ダイキに呼び出されたんです。折り入って相談がある、先輩には内緒にしてほしいって。ただごとではない感じがしたので、ダイキに会いに行きました」
指定されたのはシティホテルの部屋。誰にも聞かれたくないからという理由だった。
「部屋に入ったら、いきなりダイキが抱きついてきたんです。それでも私は姉のような感覚で、『どうしたの、何があったの』と彼の髪を撫でていました。そこで彼が言ったのは、ずっと私のことが好きだった、と。このままでは結婚できない、一度だけ思いを遂げさせてほしい、このことは墓場まで持っていくからって、号泣するんです。普段だったら、何言ってるのよってかわすところですが、あのときのダイキは見ていられなかった。つい、気が緩んだんですよね……」