「義母がくれたのは、3万1000円のガスレンジだけ」訛りの強い東北で、四面楚歌の結婚生活
――病院から帰った後は、どのような生活でしたか?
息子を出産後、1週間ぐらいで病院からアパートに戻ったんですが、家の中はコーヒーとかの空き缶があちこちに転がってる状態。彼が一向に動こうとしないので、赤子を抱いたまま掃除し始めたんです。すると夫は、「あー焼き鳥食べたい。焼き鳥買ってきて」って言うんです。
それで私、結局買いに行かされましたよ。車の免許を持ってなかったし、雪もなかったから自転車。痛くてサドルに座れなかったから、立ちこぎ。なんでこんな人と結婚しちゃったんだろって後悔しましたよ。だけど、子どももできちゃったからね……。
――でも、その後、家を建てたんですよね。それはなぜですか?
家を建てて責任感が増せば、自然と変わってくれるんじゃないかって思ったからです。22年前かな。夫が「生まれ故郷の町に、どうしても帰りたい」と言ったのが発端で、息子が1歳になったときでした。土地の購入には私が独身のときに貯めた1000万円弱を使いました。上物(建物)は2500万円。彼の名義でローンを組んで建てました。
――それで、旦那さんは変わりましたか?
いえ、一向に変わりませんでした。子育てひとつ取ってもそうです。彼は「おむつ換えしてる」と胸を張ってましたが、とてもとても。おむつを「はい」といって手渡ししてくれるだけ。インフルエンザで私が約40度の熱を出していたときなんて「裕子さん、(赤ちゃんが)うんちしてるみたい」と言っておろおろするだけ。絶対、自分は手を出さないんです。
――その分、義父母が面倒を見てくれたのではないのですか? 実家がそばですよね。
それもなかった。面倒を見てくれたり、かわいがってくれることは、ほとんどなかったです。その一方、4カ月で離婚して戻ってきた義妹の子は、親戚みんなからかわいがられてました。
――旦那さんは長男ですよね。跡継ぎだってことで大事にされるのでは?
こちらでは、そういう感覚はまったくないのです。私の子どもたちなんて、親戚からクリスマスプレゼントをもらったことすらない。一方、義妹の息子(義理の甥)は、毎日小遣い1000円をもらってた。よそ者が産んだ子どもも、よそ者だっていうわけです。
――義理の妹さんは、別れた夫から養育費をもらわなかったんですか?
そうなんです。別れた夫から養育費とかもらったらいいはずなのに、見栄を張って、それはしないわけ。その分、私たちの方に降りかかってきた。「結婚式に行く自分たちの洋服を買ってくれ」とか言って、何かあるたびに、義母や義妹から10万円を要求されました。そのたびに私が「不公平だからダメ。無理」と夫に言って断ると、夫は「うちのやつがダメっていうから」って申し訳なさそうに電話で報告してるんです。
――自分の家族よりも、実家が大事なんですね。
娘が生まれるときもそう。よりによって、予定日に親戚の結婚式の受付を引き受けてたんです。それを聞いて私、「私に何かあったらどうするの!?」って問い詰めたんです。すると彼、「じゃ息子(当時3歳)を連れて行けばいいだろ! オマエは勝手に産んだらいいじゃないか!」って。
――家族として大事にされていないんですね。とすると、家にお金を入れないとか、そんな仕打ちもありましたか?
それはなかったです。生活費として、毎月25~26万円は入れてくれていました。