【短期連載】保活バトルロワイアル。育児ママのジレンマ

隠れ待機児童ママの悲痛な声――「就職先が見つからない」と保活断念、生活はカツカツの地獄

2018/03/11 19:00

「結婚して1年半が過ぎて、なかなか子どもができなくて困っていたんです。ちょうど妊娠が判明した時に、派遣の契約も終了しました。今から働きに出ようにも、キャリア的に正社員は無理だし、子どもを預けたくても無職なので、保育園にも入れない。いつになったらこの状態から抜け出せるのか不安です」

 彼女たちの大半は、「本音は働きたい気持ちがある」が、出産して間もない乳児や、まだ手の掛かる幼児を抱えた状態での就活自体が難しいため、復職を諦めているのが実態だ。

「世帯収入が400万に届かないくらいなので、生活がカツカツ。実は出産してから、自分の服は一度も買っていないんです」と語る。

 満3歳から入園できる幼稚園の入園まで、あと2年。それまでに、再就職し、保育園に入所できる保証はない。

単価600円の記事を書くライター志望の育児ママ

 主婦向け生活情報雑誌のマネー関連記事では、副業や自宅でできるクラウドワークスの紹介が散見される。もうすぐ2歳になる男児の育児をしながら、在宅ライターをしている美幸さん(仮名)も、その1人。


「ネットで見つけたクラウドワークスのサービスを利用して仕事しています。打ち合わせもチャットツールを使っているので、子どもを預けて出かける必要もなく、助かっています」

 彼女が主に書いている内容は、インスタグラムで見かけた人気インスタグラマーの着こなしや、女性雑誌の付録などを紹介するまとめ記事だ。

「アフィリエイト用の記事です。入稿ルールも細かく決まっていて、クラウド上で共有しているエクセルシートを埋めていきます」

 単価が1記事600円程度なので、時間給で考えたらデメリットが多い。しかし、働いている実感を得られるという。「自分が書いた記事をネット見かけると、社会と関わっていると思えて、うれしいんです」と語る。

 とある調査では、保育施設を利用したくてもかなわなかった人のうち4割もの人が、実際には申し込み自体を行っていないという結果が出ている。なんらかの形で保活を行っていても、申し込みをしなければ待機児童の数には含まれない。「一度、区役所に保育園の相談に行ったのですが、仕事のことを詳しく聞かれて諦めました」と語る美幸さんの子どもも、この隠れ待機児童の1人だ。


PRESIDENT WOMAN(プレジデント ウーマン)2018年2月号(働く女性に優しい街ランキング2018)