コラム
長期不倫ルポ「私たちってヘンですか?」
「40歳を迎えてラクになった」19歳から10年不倫を繰り返した女の、結婚・出産願望
2018/03/07 21:00
考えに考えた。それでも結論は出なかった。時だけが過ぎていく。そして彼女は40歳を迎えた。
「ふっとラクになったんですよね。すごく正直に言うと、ああ、これで子どもを産みたいと思わなくてすむ、という感じ。ヘンですよね。結局、自分がどうしてもほしかったわけではなく、女の人生一通りやってみたかっただけなんじゃないかな。自分を客観視するとそういう分析ができますね」
渦中にいるとわからない。だがそこを通り過ぎると何かが見えてくることはある。そして今の彼とも10年が過ぎようとしている。
「10年にわたる不倫を二度もして、家族のいない独身41歳。他人から見たらバカな生き方かもしれません。10年後には私自身、深く後悔しているかもしれない。でも今は充実しています。それでいいかどうかはわからないけど、とりあえず私は今、生きている。それ以上でもそれ以下でもないような気がしています」
彼女の最後の言葉は、誰にでもあてはまるのかもしれない。後悔するかもしれないとわかっていても、現状を選択するのが今の自分にとって最良であるなら、それは他人と比較してあれこれ考えるべきではないのではないだろうか。それにしても生きていくのは、ただそれだけで大変である。
亀山早苗(かめやま・さなえ)
1960年東京生まれ。明治大学文学部卒。不倫、結婚、離婚、性をテーマに取材を続けるフリーライター。「All About恋愛・結婚」にて専門家として恋愛コラムを連載中。近著に『アラフォーの傷跡 女40歳の迷い道』(鹿砦社)『人はなぜ不倫をするのか』(SBクリエティブ)ほか、多数。
最終更新:2018/03/07 21:00