「40歳を迎えてラクになった」19歳から10年不倫を繰り返した女の、結婚・出産願望
だからといって、今のような展開になるとは彼女自身、思っていなかった。31歳の終わりに、彼女はまた既婚者と恋に落ちてしまうのだ。
「しばらく恋は忘れて仕事に没頭しようと思っていたんです。それなのに、またも仕事関係で知り合った人と……。彼は4歳年上で、当時、結婚して2年、子どもが産まれたばかりでした。『子どもがかわいいんだよね』なんて言いながら私を口説いて。私は私で、最初から家庭があって、その幸せをのろけるような男に悪いヤツはいないはず、なんて思っちゃって。最初の不倫が、既婚であることを隠されていたから、今度は正直な人だわと……」
自分が特に結婚を望んでいないとわかったから、相手が家庭のことを話しても傷つかなかった。それより、彼への愛情で心がいっぱいになっていたという。
「例の親友にはすぐ勘づかれました。『好きな人、できたでしょ? ハルカの顔が明るいもん』と言われたんです。相手が既婚だと知ったら彼女の顔は曇りましたが。それでも私は、自分が好きだと思える人と付き合っていることの方が重要だと思っていました」
付き合って3年ほどたったとき、彼に第二子が産まれた。もちろん妻ともセックスしているだろうとわかっていながら、それは少しショックだったと彼女は言う。
妊娠したいという気持ちとの折り合い
「そこからまた悩み始めちゃって。妻と名のつく人は無条件に妊娠して出産できるんですよね。私も彼の子がほしいと思ったけど、それは許されない。先に結婚した人にだけ子どもを産む権利がある。人生、不平等だなあと。だから彼に言ったんですよ。『私も、あなたの子を産みたい』って。そうしたら彼、ものすごく苦しそうな顔をして、体中から絞り出すように『ごめん』と頭を下げた。それだけは勘弁してほしいということなんでしょう。そのあとぎゅっと抱きしめられて……。『本気で好きだよ』って。女として好きだけど、家族ではないという意味なんだろうと、そのときは受け止めました」
彼がゴミ箱に捨てていった使用済みのコンドームから精液をスポイトで取りだし、自分の膣に入れたこともある。妊娠したら産もうと思っていた。彼と別れて、ひとりきりで。
「そんな方法では妊娠の確率が低いことはわかっていたけど、それでもやってみる価値はあるかなと半年くらい続けていました。でもある日、そんなことをしている自分が情けなくなってきて……。周りが結婚しているから結婚したいと思い、子どもを産んでいる友達が増えれば子どもがほしいと思って。私は私の人生を生きているのか、と自分にカツを入れたくなりました」
女性はどうしたって年齢を気にせざるを得ない。特に出産だけはリミットがあるのだから年齢に踊らされるのもやむを得ない。だが、そんな自分にハルカさんは疑問を抱いた。
「今、自分にとって大事なものは何か。そこをきちんと考えようと原点に戻ろうと思ったんです。本当に子どもがほしいのか。仕事でもっとやりたいことがあったんじゃないか。彼と一緒にいるかけがえのない時間を、もっと大事にした方がいいのではないか。いろいろ考えましたね」