「40歳を迎えてラクになった」19歳から10年不倫を繰り返した女の、結婚・出産願望
20年近く不倫の取材をしてきたが、このところ「長期不倫」の話を本当によく聞く。短くて8年、あとは12~15年くらいが多い。W不倫の女性にとっては、案外、合理的な関係ではないかと思う半面、独身の場合は「子どもがほしい」「結婚したい」気持ちにどうやって折り合いをつけているのかが気になる。長期不倫の女たちの声を全7回で聞いていく。
(第1回:「出産リミットが見えて焦りが」長期不倫8年目、結婚と出産願望で揺れる38歳の岐路)
独身女性と既婚男性の不倫の場合、女性が30代になったところで破局が訪れるケースが多い。やはり「結婚」「出産」を考えると、いつまでも不倫などしていられないと思うのだろう。ただ、別れて独身男性と付き合っても、また不倫関係に戻る女性もいる。
自分が“不倫”していることにショック
ハルカさん(41歳・会社員)の最初の恋人は、学生時代、アルバイトをしていた会社の社員だった。
「私、美大だったのでアート系の企画制作をしている会社でよくアルバイトをしていたんですが、そこの社員の方を好きになってしまって。私が19歳のとき、彼は30歳。発想が豊かで、一緒に仕事をしているとすごく勉強になりました。彼が何も言わなかったので、私はてっきり独身だと信じ込んだんです」
職場というよりアトリエのような事務所は、出入りのフリーランスも多く、自由な雰囲気が漂っていた。
「私は、その彼のアシスタント業務をよくやっていました。2人きりでいることも多かったから、自然と男女関係になったんですが、私が『初めて』だと知ったときに彼がちょっと驚いたんですよ。半年以上たってからかな、『実はどうしても言い出せなかったんだけど、僕は結婚しているんだ』と告げられて。ショックでした。彼と結婚したいとは思っていなかったけど、自分が“不倫”しているなんて……」
別れた方がいいことはわかっていた。だが、半年以上慣れ親しんだ初めての男性と、すぐに別れることはできなかった。
「今になると好きだったのか執着だったのかわかりませんが、当時は本気で愛していると思っていました。悩んで苦しんで、1週間くらい泣いていたけど、やっぱり別れられないと彼に告げたのを覚えています」
ハルカさんは覚悟を決めた。嫌いになるまで、この人と付き合っていこう、と。そこに妻への嫉妬も、そして思慮もなかった。若い彼女は初めての“オトナの恋”に突っ走ったのだ。
「この人とは結局、10年続きました。大学を卒業して就職してからも、業界は似ていたのでいろいろ相談したり応援してもらったり。途中で奥さんにバレかけたりもしたけど、彼は私と別れようとはしなかった。ただ、10年たったところで、奥さんがとうとう相手は私だと特定したんです。ひとり暮らしのアパートに怒鳴り込まれて……。そのとき彼が私の部屋にいたものだから修羅場でした」
妻がハルカさんに殴りかかってきたとき、彼は間に割って入った。だが、顔は妻の方を向いていた。それを見たハルカさんは体中から力が抜けたという。
「結局、彼が見ているのは妻だった、という象徴のような気がして……。後から『妻が君に何をするかわからなかったから、とにかく妻を止めることしか考えていなかった』と言ってましたけど。顔は妻の方を見ていたよね、とは言えなかった。言えないということは、私はこの人を本気で欲しているわけではないんだな、とも思いました。女のところに乗り込んで殴りかかる妻の方が、ずっと本気度が高いですよね」