「出産リミットが見えて焦りが」長期不倫8年目、結婚と出産願望で揺れる38歳の岐路
20年近く不倫の取材をしてきたが、このところ「長期不倫」の話を本当によく聞く。短くて8年、あとは12~15年くらいが多い。W不倫の女性にとっては、案外、合理的な関係ではないかと思う半面、独身の場合は「子どもがほしい」「結婚したい」気持ちにどうやって折り合いをつけているのかが気になる。長期不倫の女たちの声を全7回で聞いていく。
「 私は完璧にファザコン」
独身女性が既婚の年上男性と恋に落ちるとき、一般的に指摘されるのが「ファザコン」である。もちろん必ずしもそうとは言えないし個人差もあるが、「私は完璧にファザコン」と断言するのは、北陸地方で育ったナツコさん(38歳)だ。
「私が8歳のとき、両親が離婚したんです。私は父が大好きだった。最後に『お父さんは、どこにいてもナツコのことを見守っているからな』と抱きしめてくれたのが忘れられない。会えると聞いていたのに、実際にはそれから一度も会えなかったんです。私もある程度、大きくなっていたから、本当は母に『お父さんに会いたい』と言いたかったけど、言ってはいけないような気がして」
どうやら約束していた養育費ももらえなかったようで、母は朝から夜中まで働きづめに働いて、ナツコさんと3歳年下の弟を育ててくれた。そんな母に、父のことは口に出せなかったという。
「私が高校に入ると、母は夜、近くでスナックを始めました。適当に男性と関係をもったりもしていたみたい。夜中に弟が高熱を出して店まで母を呼びに行くと、店が閉まっている。裏口から入ってみたら奥の小部屋から母の喘ぎ声が聞こえたことがあって……」
ナツコさんは店のカウンターに、弟が熱を出したから早く帰ってくるようにメモを残して帰宅した。母はすぐに帰ってきて、弟を病院に連れていったという。
「悪びれた様子もなかったですね。今思えば、母も寂しかったし、つらかったんでしょう。ただ、あの頃はそんな母が許せなくて、私は早く家を出ようとそればかり考えていた」
必死で勉強して東京の大学を受験した。奨学金も借りたが、翌年からは無償の奨学金をもらえるほど成績は優秀だった。