「気づいたら12年たっていた」増加する“長期不倫”の背景と事情【長期不倫ルポ】
20年近く、不倫と呼ばれる男女の恋愛を取材してきたが、このところ「長期不倫」が目立つようになっている。
不倫の場合、季節が一巡りしたところ、つまり1年たつと「関係を見つめ直す」人が多い。二度目の四季を迎え、思い出を積み重ねていいのか、という思いに駆られるのだろう。「一緒に桜を見たなあ」という記憶が、「去年はあそこで、今年はここで一緒に見たなあ」と思い出に塗り変わるのだから、二度目の四季は重要だ。それが三度四度と積み重なるうち、どちらかの配偶者に露見したり、家庭の事情に変化があったり、あるいは相手に興味を失ったりと、いろいろあって別れに至ることもある。
以前だったら、5年付き合っていたら「不倫としては長期」に入った。ところが最近は、5年はまったく珍しくない。二桁の「10年以上」不倫関係にあるという話がかなり耳に入ってくる。
そこまで続いてしまうには、いくつかのポイントがあるように思う。1つには、携帯からスマホに変わり、2人が連絡を取りやすくなったこと。トークアプリやカップルアプリなどを使うことで、連絡の取りやすさだけではなく、「思い出」を積み重ねやすくなったのだ。
さらに、女性たちが「恋愛と結婚は別」と公言するようになったこと。独身であれ既婚であれ、相手との結婚を望まない女性が増えた。そのため、不倫関係においてもトラブルが生じにくい。「耐えてじっと待った揚げ句、結婚できないからと死ぬの生きるのと大騒ぎする」というような話は久しく聞かない。
そもそも若い女性たちは「不倫はコスパが悪すぎる」と言う。だからこそ、既婚男性と付き合う独身女性の中には、同世代のボーイフレンドとも並行して付き合っているケースが少なくない。そうしなければ、「対等な関係」にならないからだそうだ。