【連載】夫の不倫相手を訴えた! 実録「慰謝料請求裁判」体験記18

夫の不倫相手から謝罪はなし 和解まで2年を費やした慰謝料請求裁判が決着

2016/05/19 15:00
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Photo by Bopuc from Flickr

 こんにちは、まほです。結婚4年目にして、夫の不倫が発覚。その日を境に、今まで送ってきた生活は、がらりと大きくありようを変えました。その顛末記です。

■「控訴理由書」への反論を指摘した「準備書面」を用意

 第一審はすべて欠席で通したというのに、裁判所から180万円支払いの判決が出た途端に、控訴してきた夫の不倫相手のさなえ(仮)から届いた「控訴理由書」をもとに、こちらでも「準備書面」というものを用意することになりました。「控訴理由書」とは、一審判決の取消または変更を求める具体的な理由を記載する書面で、「準備書面」は、その「控訴理由書」の中に書かれていたことに反論がある場合、それらを一つひとつ指摘したもの。具体的には以下です。

[さなえの控訴理由書]
関係がスタートした際には、交際相手の女性がいるとは知らされていなかったこと、交際して数年たった頃、突然、「別の女性と結婚する」と知らされたこと。

[わたしの弁護士が用意した準備書面]
「婚姻、内縁関係にある女性がいることを知らなかった」という、控訴人(さなえ)の主張は虚偽であり、知っていたという事実は、控訴人と面識のある共通の友人らから確認が取れていること。


[さなえの控訴理由書]
その後も、恋人同士として関係を続けることを互いに、同意したこと。むしろ、交際に積極的だったのは、非控訴人の夫であったこと。

[わたしの弁護士が用意した準備書面]
「別れない。わたしと付き合い続けないと不倫の事実をバラす」と不倫関係を強要されていたことが、控訴人と面識のある共通の友人らから確認が取れていること。

[さなえの控訴理由書]
不倫の事実が明らかになった後も、非控訴人の夫から連絡があり、交際が継続したこと。

[わたしの弁護士が用意した準備書面]
不倫の事実が明らかになった直後、非控訴人の夫のもとに、控訴人から、自殺を匂わせる手紙が届いたこと。それを受けて、自殺を止めるために「死んでほしくない」という返事を書き、その後も励ます意味で連絡を取っていたこと。

 さなえの主張に対して「こちらには証人がたくさんいるぞ」というスタンスです。さなえから届いた手紙や、「別れません」と断言している録音データなどがこちらの手元にあることを踏まえて、「頑なに争っても、こっちは断然に有利なので、落としどころを探した方がいいんじゃないですか」と暗に先方に伝えているのかな、という印象を受けました。この準備書面は、控訴審の第一回の口頭弁論に備えて、さなえのもとへと送られました。


■相手のSNSをストーカーのようにチェック

 そうして迎えた第一回口頭弁論日当日。第二審は高等裁判所で行われます。自分がしでかしたことの大きさを実感してもらうために、今回は夫に、傍聴に同伴してもらうことにしました。さなえも裁判所に足を運んできた場合、顔を合わせることになりますが、なんなら、その顔を拝みたいという気持ちもありました。

 この頃のわたしは、さなえがいったい何を考えているのか、何をしているのか知りたくて、毎日毎日、ネットでさなえのSNSをチェックするのが日課でした。それは、強制執行を考えた場合に備え、少しでも情報を得たいのと、まだ夫とつながっている様子がないのか監視する意味もありましたが、さなえがわたしをまったく無視していることが理不尽に思え、イラついて、気になって気になって仕方がなかったのが一番の理由です。これってストーカーの心理と似ているのではないか、と思いながらも、どうしても止められませんでした。

 最初にさなえのSNSを見た時、あまりに自分がSNSにアップしている画像と、そこにアップされている画像とが、似ていることに驚きました。同じポーズのアイコン、同じ種類のペット、同じメーカーのメイク用品、同じブランドの服、同じ髪型。友人からは、「あの人、まほさんとダンナさんがデートしている時に、まほさんが『○○にいまーす』とツイートしてすぐのタイミングで、『いまから○○に向かいます』とツイートしていましたよ」というようなことも聞いていました……。さなえもまた同様に、わたしが気づかないでいることを、その存在を無視していると考え、そして日々わたしのSNSをチェックしていたのでしょうか。そして、だんだんと精神のバランスを崩していったのかもしれません。

和解という知恵 (講談社現代新書)