“ぽっちゃり”女性と男性のコンプレックス、モテ意識はどう違う?【la farfa×Mr.Babe編集長対談】
2016年の婦人服・洋品市場は5兆7563億円(矢野経済研究所「2017 アパレル産業白書」)とされているが、LL以上のサイズの市場は約2000億円程度といわれ、全体から見るとかなり小さい。すなわち「着たい」と思う服があっても、太っていれば入らない。現状では「おしゃれ」であることは、「痩せている」ことと同義になっているのだ。
そこに意義を唱え、これまで見てみぬふりをされてきた“ぽっちゃり”に焦点を当てているのが、ぽっちゃりした女性向けファッション誌「la farfa(ラ・ ファーファ)」(2013年発刊/ぶんか社)と、男性向けのファッション&ライフ スタイル情報サイト「Mr.Babe(ミスターベイブ)」(15年に雑誌として創刊、現在はサイトがメイン)。今までなかったコンセプトに両誌は好評を博しているが、男女での“ぽっちゃり”意識に違いはあるのだろうか。「ラ・ファーファ」編集長・清水明央氏と、「ミスターベイブ」編集長・倉科典仁氏が初対面し、メディアを作る中で“ぽっちゃり”とどう向き合っているのか、また、ぽっちゃり読者のモテに関する考え、そこに男女の差はあるのかなどを語り合ってもらった。
――最初に、「ラ・ファーファ」と「ミスターベイブ」、それぞれのメディアのテーマについて教えてください。
清水明央氏(以下、清水) 「ラ・ファーファ」は、ぽっちゃりした女性向けのファッション誌として13年に発刊しました。当時はまだプラスサイズ(大きいサイズ)の洋服がいまほど販売されておらず、発刊時の女性編集長が「私が着たい服がない」と思っていたところから始まりました。社としても「どこもやっていない企画だから面白い!」という想いもありまして、ファッションを「ぽちゃティブ」に楽しめる媒体がコンセプトになっています。「ぽちゃティブ」というのは、ぽっちゃりした女性が「アクティブ+ポジティブ」なマインドになる造語です。これまでの「どうせ私が着ても似合わないでしょ」というネガティブなマインドを変えたい。僕もそうしたコンセプトを踏襲して、2年ほど前から編集長を務めています。
倉科典仁氏(以下、倉科) スタートは「ミスターベイブ」も似ています。僕がデブなものですから、似合うサイズ感の服がなかった。以前「メンズナックル」(ミリオン出版)というギャル男向けのファッション誌を編集しており、当然そこには僕に合うサイズの服はなかったんですが、お付き合いしていたアパレルメーカーの方から特注サイズのTシャツをいただいたんです。しかし、着てみるとボンレスハム状態(笑)。長さだけ長くて、体型に合ってない。アパレルさんでも、こういう体型が似合うファッションを知らないんじゃないかと思ったんです。
13年の厚生労働省の調査でも、日本人の成人男性の3人の1人は肥満。人口は減っているのに肥満は増えているので、同じ悩みを持つ人も多いだろうと思いました。ただ、「ラ・ファーファ」さんと違う点は、おしゃれをするのは「モテるため」という強い意識を持っている男性が圧倒的に多いところです。ファッションを純粋に楽しむ方ももちろんいるんですが、「モテるためにはどうするか」というところから、多くの男性は入ると思っています。