サイゾーウーマンコラム仁科友里「女のための有名人深読み週報」マツコ、「ブス攻撃」に隠された標的 コラム 仁科友里の「女のための有名人深読み週報」 マツコ・デラックス、毒舌の方向性に変化――最近の「ブス攻撃」に隠された標的とは? 2017/12/21 21:00 女のためのテレビ深読み週報女のための有名人深読み週報 マツコの毒舌の変遷とは? <今回の有名人> 「たいがいブス」マツコ・デラックス 『5時に夢中!』(TOKYO MX、12月18日) 毒舌が人気とされる芸能人は、年月の経過とともに、毒舌の方向性を変えていく。2005年『5時に夢中!』(TOKYO MX)で本格的なテレビデビューを果たし、瞬く間に国民的人気を博したマツコ・デラックスも例外ではない。 テレビに現れて10年余、マツコは3回、微妙に毒舌の方向性を変えていると私は思っている。まずはI期。テレビに出始めた頃のマツコは「口は悪いがユーモアと観察眼があり、情に厚い」というドラマや映画によくいるおネエと一致したキャラで登場する。 中村獅童が飲酒運転と信号無視をして警察に捕まった時、同乗していたのが女優の岡本綾だった。獅童は竹内結子と結婚していたので不倫の疑いがあったものの、コメントを求められたマツコは、 「本当は一緒にいたのは、(元プロゴルファーの)岡本綾子さんだったんじゃないの?」 と茶化して笑いを誘った。民放のワイドショー的な切り口に飽き飽きしていた視聴者は、だんだんマツコの笑いに魅了されていく。この頃は、頻繁に「ブスが調子に乗ってんじゃないよ!」といった、いかにもおネエがいいそうな発言をよくしていたし、酒井法子が覚せい剤取締法違反で逮捕された時、「週刊朝日」(朝日新聞出版)に「そもそも酒井法子は全然清純じゃない」「あんな気の強いオンナいないよ」といった悪口とも取れる内容のコメントを出していた。 続いてII期。政治や経済に対するマツコのコメントにも支持が集まり、視聴者の評価も「おネエだから面白い」から「面白いコメンテータがおネエ」に変わっていく。JALのキャビンアテンダント、附属校からエスカレート式での大学卒業組、美魔女、田園都市線沿線エリアなど、一般的に、世間があこがれているもの、もてはやされているものについて、マツコはばっさり「価値がない」と斬っていく。 マツコの人気はうなぎのぼりで、ご意見番を通り越して「マツコの発言は、全部正しいに決まっている」という空気も漂い出す。冠番組を持ち、CMに出るようになった影響もあって、マツコは発言に慎重になり、ブスのように“生まれつきのもの”“変えられないもの”に対して厳しいコメントはしなくなっていく。毒舌で名を成したマツコが、毒を吐けなくなると、自分のタレント生命にも関わってくる。マツコ自身も危機感を持っていたのではないだろうか。 そして、17年の11月6日をもって、マツコはIII期に入ったと私は信じている。『しゃべくり007』(日本テレビ系)に出演したマツコは、「(太っていておなかが出ているので)自分の足元が見えない」と、自分で自分の体形をいじってみせた。これは私が知る限り、初めてのことだ。マツコは共演する芸能人に体形をいじらせることは許しても、自分から発言することはなかったのだ。 次のページ 毒舌の活路をブスに見いだした 12次のページ Amazon デラックスじゃない (双葉文庫) 関連記事 なぜミッツ・マングローブの毒舌は炎上するのか? マツコとは異なる“自意識のあり方”「かつては特別だった」普通の私――ミッツ・マングローブ本に見る、オネエを求める女の自己愛にゃんこスター・アンゴラ村長、大先輩・モモコへの発言に見る「自己中」「今どき」な思考回路高橋真麻、テレビに出るために「不幸でいたい」戦略の落とし穴神田愛花が語る「恋愛の失敗例」から考える、彼女がバナナマン・日村との結婚を焦るワケ