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セカオワ・Saori、『ふたご』直木賞ノミネート決定! 『火花』の再来狙う文藝春秋の思惑

2017/12/15 12:00

 2017年下半期の直木三十五賞で、SEKAI NO OWARIの“Saori”こと藤崎彩織の『ふたご』(文藝春秋)が、最終候補作品にノミネートされることがわかった。近日中に発表される見込みという。一昨年はピース・又吉直樹の『火花』(同)が芥川賞受賞となり、門外漢の受賞には賛否あったが、またしても同様の騒動が繰り返されるのだろうか。

 Saoriは今年10月、自身初となる小説『ふたご』を上梓。すでに10万部を突破している話題作だが、バンドメンバーであるFukaseらとの関係を彷彿とさせる私小説的な内容は、ファンに衝撃を与えている。

「小説としてもよくできていて、大炎上した俳優・水嶋ヒロの『KAGEROU』(齋藤智裕名義、ポプラ社)のような粗さもない。担当編集者は幻冬舎から文藝春秋に移籍したもともとセカオワファンの男性で、尾崎世界観(クリープハイプ)など、アーティストの著作を複数手がけています」(出版関係者)

 過去にもアーティストの文芸作品では、町田康や辻仁成が芥川賞を受賞しているが、今回のSaoriの直木賞ノミネートについては、業界内からやや懐疑的な声が出ているようだ。

「実は『ふたご』は文藝春秋社長の肝いり作品で、今後ロングセラー化されることに大きな期待がかけられています。直木賞にノミネートされるだけでも重版は確定で、大賞ともなれば、年間トップ売り上げも狙える。『火花』フィーバーのような、文学界の盛り上がりをもくろんでいることは、火を見るより明らかです」(同)


 かつては該当作品なしが続くことがあったものの、いまや直木賞・芥川賞など文学賞レースはベストセラーに直結する“ゴールドチケット”となり、小説の出来だけでなく著者の話題性も、選考に大きく影響するといわれている。

「直木賞を実質的に主催している文藝春秋は、今年目立ったヒット作を出せていないこともあり、また低迷する出版界全体へのカンフル剤としても、『ふたご』はうってつけだと考えたのでしょう。前回の大賞作、佐藤正午の『月の満ち欠け』(岩波書店)はイマイチ話題性に欠け、書店から返本が相次いだというだけに、文春は『今回こそ』という意気込みが強いのでは」(同)

 文藝春秋は「週刊文春」誌上で、「日本レコード大賞」が出来レースであることを再三批判しているが、次回直木賞が“壮大なブーメラン”となってしまわないことを祈りたい。

最終更新:2017/12/15 15:10
ふたご
面白けりゃなんでもいいけど