カルチャー
浅見悦子氏インタビュー【後編】

渡辺直美、ブルゾンちえみ……安室奈美恵の“ギャルマインド”を継承する20代女性芸人たち

2017/10/15 17:00

――その一方で、今の若い世代には、安室さんの“適齢期”に縛られず、今やりたいことをやるといったスタンスは、あまり浸透していない気がします。

浅見 そうなんですよ。「S Cawaii」ってギャルの象徴たる雑誌で、読者もモテとかには興味がなく、結婚するにしても、できちゃった結婚が多かったんですが、最近では「婚活特集」が組まれているんです。今の20歳くらいの子は、「早く結婚して専業主婦になりたい」「ママになりたい」という願望があるみたいで、もしかしたら、彼女たちが身近にあこがれるのは“ママタレ”になったのかもしれません。ギャルとは、インディペンデントな存在で、モテからも、男からも、他人の目からも独立して、自分が好きなことをやる子だと思っていただけに、最近の「S Cawaii」読者は、ギャルではないのかなぁとも感じますね。

 安室さんの生き方は、ギャルに影響を与えたと思いますが、徐々にメディアに姿を出さなくなったことで、ギャルにとって「なれる存在」から「なれない存在」となってしまったのではないかとも思えますね。

――ギャルマインドは消えてしまったのでしょうか。

浅見 むしろ、20代の女性芸人さんに、ギャルマインドが引き継がれているような気がしますね。渡辺直美さん、ゆりやんレトリィバァさん、ブルゾンちえみさんは、自分のやりたいファッションをしていて、媚びていない感じがするし、女の子のかっこよさ、オシャレさを牽引し始めているのではないでしょうか。どんなタイプの女性から見ても、彼女たちは愛される要素を持っているし、それは安室さんもそうだったと思います。

 ただやっぱり、ギャルマインドを持った子は減っているので、この現状にさみしさを感じますが、80年に聖子さんがデビューして、90年代半ばから2000年頭にかけて、安室さんと浜崎さんが登場して……と考えると、ちょうど20年くらいの間隔で、女の子に大きな影響を与える“あこがれの女性”が現れているんです。だから、3年後の20年くらいに、また新しい女性が出て来るんじゃないかなぁと期待しています。

浅見悦子(あさみ・えつこ)
1972年生まれ。ウェブメディア「OTONA SALONE」編集長、元「S Cawaii!」編集長。「Ray」「ef」「健康」など、主婦の友社にて、幅広い世代向けの女性誌の編集に携わり、美容・健康編集者歴は20年以上となる。

最終更新:2017/10/15 17:00
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