ギラギラで怖い松岡昌宏から気さくな「松兄」へと変貌した、TOKIOの“あがり”方
大きな理由の1つは、「松兄」というニックネームにあると思う。この番組の中で語られていたのは、「松兄」の名付け親が嵐・相葉雅紀だということ。基本的に先輩のことはみんな「○○くん」というのがジャニーズの伝統だが、誰の懐にもすっと入り込める相葉が、そう呼び始めたのだった。ニックネームを得たこと、それもジャニーズの中でも「親しみやすいキャラ」筆頭の相葉がそう呼んだことで、周りが勝手に感じてしまう松岡への「壁」が一気に崩されたのだろう。
もう1つは、人気バラエティ番組の数々で見せる「リーダー(城嶋茂)のこと好きすぎ」「リーダーに優しすぎ」のイメージがあると思う。そして、「いかつい」見た目は今も変わらないままに、優しい人柄、ウソのない感じが浸透したのは、素顔が見えるバラエティあってのものだ。
あくまで結果論でしかないが、TOKIOは幸せなグループだと思う。なぜなら「CD売り上げ1位をとり続けなければいけない」というジャニーズならではの呪縛から、デビューの時点で解放されているから。「1位の呪縛」から早々に解放された点においてはSMAPや、ジャニーズWESTなども同様だが、ほかの多くのグループの場合、「1位をとり続けなければいけない」ことで、活動の幅が狭められてしまう。
しかし世間は、TOKIO・長瀬智也のボーカリストとしての魅力を知っているし、TOKIOの番組が高視聴率で、お茶の間人気が高いこともよく知っている。おそらく「CDがあまり売れないグループ」なんてことを気にしているのは、ジャニオタだけだろう。
「1位の呪縛」から早々に解放され、代わりに「お茶の間の人気者」ポジションを手に入れたTOKIOの“あがり”方。それは芸能の世界で生きていく上で、1つの理想のかたちなのではないだろうか。
(田幸和歌子)