宗教にハマッたイギリス人の夫が暴行、臨月間際で馬乗りに……【別れた夫にわが子を会わせる?】
その後、2人の人生は急展開していく。
「出産より先に、結婚式を行いました。式場や日取りを決めたり、彼の両親をイギリスから呼んだり。身重なのに、大急ぎで準備して大変でした。
その後、入籍して、晴れて夫婦となったんですが、前途は多難でした。彼がそれまで勤めていた英会話学校を辞めたり、別の学校に移籍したりと、仕事が不安定だったんです。しかも、そこにうちの両親が介入してきて、『もっと待遇のいいところに勤めなさい』って、やぶから棒にわざわざ言うんですよ。私を心配するがゆえの行動なんでしょうけど、正直、迷惑でした。
おかげで、彼が精神的にきつい状態になってしまって、マンションの壁を殴ったり蹴ったり、ナイフで冷蔵庫に傷をつけたりと、物に当たり始めたんです。そして、ついに私に危害を及ぼすようになりました」
――実際、どんな被害に遭ったのですか?
「拳で私の頭をぽかぽか殴ったり、腕や足を蹴ってきたり。そうして散々暴力を振るった後に、ふっと我に返って『ごめんね、ごめんね。そんなつもりじゃなくて』って、誠意を込めて謝ってくるんです。だけど、顔は絶対に狙ってこなかった。周囲にバレるのを恐れていたようです。ずるいですよね。殴るきっかけは、だいたいは私の発言です。『もう別れたい』って私が言った後、決まって手を出されましたから。私のことが好きすぎるんですよ」
田中さんの被害は、暴力に限らなかった。
「臨月に近い頃でしょうか。彼が馬乗りになって腕を殴ってきた後、服を全部脱がされて、変な話……犯されたのです。夫婦間でおかしな話ですが、その時は一方的で恐怖を感じました。そのとき警察には行ってないです。他人には言い出せないという気持ちと、そのような形でしか表現できない彼を救ってあげたいという気持ちで、いっぱいだったんです」
田中さんは嫌がる彼を説得して、精神科のある病院に半ば無理やり、連れて行った。
「医師は心が落ち着く、軽い精神薬の処方箋を出してくれました。本当はもっと強い薬を出したかったようですが、西洋医学を信用しない彼が、断固拒否したんです。それでも、その薬もかなり効きまして、彼の精神状態は次第に安定していきました」
ようやく平静を取り戻した田中さん夫婦。千恵美さんはその後、無事に出産、娘と親子3人で暮らし始めた。
「彼はとても献身的に、育児に励んでくれました。私の代わりに徹夜でミルクをあげて、私を寝かしてくれたりね。このまま穏やかに過ごしていけるのかと期待しましたが、長続きしませんでした。実は彼、処方されていた薬を勝手に中断しちゃってたんですね」