【連載】彼女が婚外恋愛に走った理由

中学時代の元カレと「セックスしない婚外恋愛」続ける理由――アラサー主婦のしたたかな計画

2017/09/16 19:00

彼氏とは、ディズニーシーデートに行った

 落ち込んでいた美沙さんの救世主となったのが、現在の恋人である男性だ。

「彼は、中学生の時に付き合っていた人です。地元に帰省した時、内輪の同窓会があって……婚外恋愛の出会いの定番だからちょっと恥ずかしいんですけど」

 彼もまた結婚をしていて、子どももいたそうだ。同窓会を終えたあと、2人で飲みに行き、交際当時によく遊びに行った神社で互いの家庭の不満を語り合っていたら「自然と『好き』みたいになりました」。

 以来、美沙さんは帰省をするたびに彼と会い、また彼も、都心に来た時には必ず美沙さんに会うという。

「中学時代に果たせなかった恋を、今実らせた感じですかね。映画を見たり、ボーリングをしたり、この前はディズニーシーにも行きました。夫はあまりアクティブな遊びが好きではないので新鮮ですし、彼といると中学生に戻った気がして……見返りを求めない恋愛ってこんなに楽しいんだ、って実感しています」


 しかし2人は、絶対に破ってはいけないルールを設けていた。それは「一線を超えないこと」だ。

「彼の子どもが成人したらお互いに離婚をして、結婚をしようと約束しています。そのためには法的に不利になるようなことは絶対にしないと誓ったんです」

 あくまでも純愛を貫き通したかったという美沙さんだが、彼はセックスをしたいと思わなかったのだろうか? そう尋ねると美沙さんは恥ずかしそうに微笑んだ。

「実は、何度も誘われました。付き合い始めた時はもちろんですが、今でもたびたび『我慢できない、ホテルに行こう』と言われますね。でも私は必死で阻止しています。本音を言えば、私だってすぐに彼に抱かれたいですけれど……」

 離婚時に慰謝料を求められるケースは「不貞が認められた時」である。体の関係はもちろん、それを匂わせる状況を作ると即アウトだ。


 しかし過去には、美沙さんのように、手もつながず、キスもしていない男女の関係を、裁判所が“不倫”認定した事例がある。夫と同僚女性の不倫関係を疑った妻が、女性に賠償を求めた裁判で、実際に裁判所から44万円の賠償命令が下ったというのだ。

「もし私たちがそうなったとしたら、逆に私は主人を訴えて、私たちが支払う額を取り返しますよ。当時の夫がした不倫の証拠は、まだ保存してありますし、キャバクラや風俗へ通うことを黙認はしていましたが、私にとっては“精神的苦痛”でしたから」

 若いうちに結婚をして、現在再び彼と純潔を守った交際をしている美沙さんは、婚外恋愛というよりも“青春をやり直している”ように筆者には感じた。果たして、美沙さんが離婚をし、彼と再婚をする日は訪れるのだろうか――。
(文・イラスト/いしいのりえ)

最終更新:2017/09/16 19:00
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