カルチャー
『ヲタ夫婦』座談会[後編]

「オタ仲間の義理と人情」「接触はジャニオタのウチワと同じ」ドルオタ夫婦2組の異色対談

2017/08/06 19:00

太田&田幸夫妻の一部の私物グッズ。NYC「ハイナ」PV撮影には家族3人で参加したそう

田幸 女性アイドルのステージは、恋人気分ではないということ?

藍 もちろん若い人は疑似恋愛をしてる人もいるんですけど、基本的に中年くらいの年齢層の男性が「アイドルを頑張って支えてあげなきゃ」という発想の世界なので、推しが恥をかかないように対バンは駆けつけてあげたり、コールで盛り上げてあげたり、「推しに奉仕する」精神の方が多い気がします。

――ちなみに、藍さん自身は男性アイドルには興味は持ったことはないですか?

藍 私は最初から女の子にしか興味がなかったです。たぶんセーラームーン世代だからかな? 子どもの頃から、女の子が主人公の戦闘モノとか好きでした。

全員 なるほど……!

――長い目で見たドルヲタとしての幸せな人生って、どういうものだと思いますか?

ヲタ夫 ヲタ夫婦、ヲタ家族が増えてくるのって、たぶんこれからだと思うんですよ。ハロプロのファンが、やっと小さい子どもを連れてくるくらいですしね。

藍 今の女性アイドル現場はブームになってから歴史が浅いので、もっと夫婦とかカップルとか子連れでとか、逆に男性が1人で行っても肩身の狭い思いをしない工夫とか、いろんな立場の人が行けるように整備されていくと、ドルヲタとして明るい将来を想像しやすいのかなと思います。ジャニーズみたいに、年を取っても楽しく見にいける感じに、これからなっていけばいいなって。これまでは、女性アイドルのオタクの中では“結婚して幸せなやつは勝ち組なんだから愚痴なんて言うなよ”みたいな空気があったんですけど、結婚してるオタクもこれからもっと増えてくるだろうから、そういうヲタ夫婦やヲタ家族も当たり前になればいいかなと思います。そうやって、ヲタ夫婦も幸せなゴールではなく、それなりに苦労があるというナレッジが共有されていって、逆に独身でいるオタクも今が最高だなと気付いて前向きになったりするのかなと思います。アイドルオタクは、独身だと不幸で、結婚したら勝ち組というステレオタイプな価値観がとても強い気がするので、独身貴族的な有名オタクが楽しそうにしてる姿が増えたら、夢がある気がします。

田幸 子どもを持って初めて知ったのは、今の中高生など若い子にとって、「アイドルファン」はクラスの中でも少数派ということです。アニメファンや声優ファン、YouTuberファンなど、多様化・細分化している中で、男女ともにアイドルにハマっている子はかなり少ない。そんな少数派のアイドルファンの中の大部分を占めるのが、「親子でファン」というパターンです。だからこそ、今後はますます、親子で、あるいは三世代でアイドルを応援していくというのが、1つの主流になるのではないかと。勝手に伝統文化を見守る応援隊のような気持ちでいます。

太田 アイドルブームは沈静化したと一部では言われますが、アイドル文化は、すっかり当たり前のものとして定着してますし、欅坂46やTOKIOなど、ロックフェスに出て歓迎されるグループも増えてきた。親子で楽しむアイドルコンサートの先駆けは松田聖子なのかなと思いますが、ジャニーズアイドルも息が長い今だからこそ、そんな感じに親子とか夫婦とか、家族共通の趣味になっていくことも増えていくかもしれませんね。

最終更新:2017/08/06 19:00
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