サイゾーウーマンコラム仁科友里「女のための有名人深読み週報」料理に縛り付けられる日本のオンナ コラム 仁科友里の「女のためのテレビ深読み週報」 東野幸治の「手料理する人は優しい」発言に抱く、料理と“人格”を結びつけることへの違和感 2017/07/06 21:00 女のためのテレビ深読み週報 女性側にも料理に対する思い込みが…… 料理の話が女性の人格にすり替えられることに加え、こういうトピックを見ると、女性側の料理に対する思い込みにも気づく。このトピックの場合、夫が外食を提案しているのに、妻はそれを無視している。また「とんかつが食べたい」と夫は言っているが、デパ地下などで既製品のとんかつを買うという方法もある。何も最初から全部自分で作る必要はないのに、なぜかこのトピ主は、「自分で全部作る」ことにこだわっているのだ。 それに、なぜ相手にいちいち食べたいものを聞くのかも不思議である。記念日のディナーと違って、この日の夕飯は「早く食べて早く寝る」ためのものだろう。この夫婦の場合、料理は妻が担当しているようだから、冷蔵庫にある食材を把握しているのも妻のはず。夫は簡単なものでいいと言っているわけだから、手作りするにしても、手持ちの食材で簡単なものを作ればいいだけのことではないだろうか。それをしないのは、「既製品を買ったりせず、男性が食べたいものをイチから手作りすれば、喜ぶに違いない」と思い込んでいるからだと思えるのだ。 この日の『ワイドナショー』に、ヒロミが出演していたが、奇しくも彼は、「手作りを喜ばない人」である。ヒロミが、『笑っていいとも!』(同)に出演していた若手の頃。料理好きで名高いタモリの自宅に招かれたことがあるそうだ。高級食材をふんだんに使った料理がふるまわれたが、好き嫌いの多いヒロミは、ほとんど手をつけない。唯一「これおいしいね」と喜んだのは鯛茶漬けで、タモリに「作り甲斐のない男」と言われていた。ヒロミの妻は料理が苦手として知られる松本伊代だが、そもそも食に興味がなく、おいしいものは外食するかセブンイレブンに行けばいいと思っている男性も存在するのだ。 男性は料理上手が好き、手作りは手間がかかっていてエラいと、女性は刷り込まれて育つ。「発言小町」には、料理に関する夫婦間の行き違いが定期的にアップされるが、私に言わせれば、これは、「料理の腕イコール人格」と信じ込まされた女性側の「きちんとやらなくちゃ」「きちんとやっているのに」という意気込みが強すぎるからこそ、起きる諍いに思えてならない。 私の周囲に限っていえば、最初の奥さんがまったく料理をしてくれなかったことがトラウマになり、2度目の結婚では、妻に全部手作りを求める知人がいるが、こういう人はごく少数派で、既製品を食卓に並べても気づかない人もたくさんいる。食は心身に影響を与えるので、粗末にしない方がいいとは思うものの、女性が向き合うべきは、「忙しいのに、髪振り乱して全部手作り」することではなく、「相手は本当に手作りが好きなのか」「相手の“おいしい”の基準とは何か」、つまり、もっと自分のパートナーを知ることではないのだろうか。料理をめぐる男女の溝を『ワイドナショー』は浮かび上がらせたように私には見えた。 仁科友里(にしな・ゆり) 1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、最新刊は『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。 ブログ「もさ子の女たるもの」 前のページ12 最終更新:2017/07/06 21:00 Amazon 聡明な女は料理がうまい 料理の苦労を背負い込みたいオンナっているよね~ 関連記事 “ご意見番”と化した千秋に見る、「年下女子から相談されやすい女」の特徴浜崎あゆみ、『しゃべくり007』での“ぶりっ子”リアクションに感じた「メンタルの老い」テリー伊藤の“股間至上主義”的思考が漏れ出た、高畑裕太と坂口杏里への持論ASKAブログ、薬物芸能人として致命的な“上から目線”――許してもらうべき人物は誰なのか?スピードワゴン・井戸田潤、自称「あげまん」を憎悪する姿に見る“威張る男”の真意 次の記事 松居一代、不倫の証拠には何が必要? >