初めて殴られたときDVだと気づいた。夫から逃げるためにシェルターへ【別れた夫にわが子を会わせる?】
暴力を振るわれ続けて、離婚しようという気持ちが高まっていったのだろうか?
「いえ、そうはならなかったです。夫にけなされ続け、自尊心を打ち砕かれてしまっていたからです。『離婚しても、私のような出来の悪い妻では結婚してくれる人はいない。こんな私なのに夫は結婚してくれたのだから、ありがたい』と思っていた。要は洗脳されていたんです。何より夫は稼いでいましたし、浮気もしない。だから私、『子どものためにもと思って、たまに殴られることくらいは我慢すればいい』と自分に言い聞かせていたんです。
夫は夫で、私が殴られても別れようとしないことから、『こいつは殴っても大丈夫』だと思ったんでしょうね。『なんで殴るの?』と聞いたところ、『おまえしか殴ったことはない。おまえが悪いから殴るんだ』といったことを悪びれずに言われたことがあります。
では、なぜ離婚したかって? 夫の浮気が発覚したからです。夫は独身と偽って婚活サイトに登録していまして、真面目に婚活している若い女性たちを食い物にしていたんです。人というのは言葉では平気で嘘をつくのですね。夫を人として軽蔑しました。限界でした」
我慢してでも夫婦関係を維持しよう――。そうした気持ちが彼女の中から消えてしまったのだった。このあと彼女は家を出るという方法で気持ちを表すことになる。
■夫の旅行中に黙って引っ越し
「警察、弁護士(市の無料法律相談で知り合い、そのまま委託)、市役所、行政のDV相談、児童相談所、女性相談センター、小学校、中学校、実家の両親、NPO、民生委員など、別れる直前、あちこち相談に行きました。すべての方が親身に話を聞いてくださったことが何よりうれしかったし、その全員が私の味方になってくれたような心強さがありました。
具体的なアドバイスを出してくださったのは弁護士さんです。『証拠集めをするように』と言われました。その言葉に従い、写真ですとか領収書ですとか通帳ですとかを、夫が見ていない隙に集めていったんです」