サイゾーウーマンカルチャーインタビュー「東京ろう映画祭」初開催の意図 カルチャー 「東京ろう映画祭」ディレクター・諸星春那さんインタビュー “社会的弱者のお涙頂戴”は狙いではない——「東京ろう映画祭」初開催の意図とは? 2017/04/06 15:00 映画インタビュー 「東京ろう映画祭」ディレクター諸星春那さん 4月7日から9日まで東京・渋谷ユーロライブで開催される、第一回「東京ろう映画祭」。ろう者のスタッフが厳選した、ろう者出演のドキュメンタリー映画や監督作の上映、今まで日本語字幕がなかった邦画の字幕付き上映ほか、さまざまな企画も予定されている、ろう者のカルチャーを紹介する映画祭だ。今年初の開催ということで、同映画祭のディレクターでアーティストでもある諸星春那さんに、映画祭誕生の経緯やどのような意図があるのかなど、お話を伺った。 ■日本映画は字幕がないから、ろう者は見られない ――2017年に初めて開催される「東京ろう映画祭」。映画祭開催のきっかけは、どのようなことだったのでしょうか? 諸星春那さん(以下、諸星) 一緒にディレクションを担当した牧原依里と3~4年前に知り合ったのですが、2人ともろう者で、彼女は実写映画を撮っていて、私はコマ撮りのアニメ作品を作っていました。私はフランスに関心があって、ヨーロッパ最大のろう芸術祭があると聞いて見に行ったのですが、牧原はイタリアのローマで開催された、ろう国際映画祭へ行っており「日本でもあんなふうに、ろう映画祭ができればいいね」と話していました。最初はお茶を飲みながら、軽い気持ちで話していたんですよ。「日本映画は字幕がないから、ろう者は見られない。日本でろう映画祭やるときは、字幕を付けよう」なんて、2人で構想を練っていました。 当時、牧原は自分の監督作品『LISTENリッスン』に取り組んでおり、私もその仕事のお手伝いをしていました。映画が公開されて一息ついたとき、「東京ろう映画祭」をやるなら今かな、という気持ちに傾いていました。 ――諸星さんも牧原さんも、映画祭を主催するのは初めてですよね。どうやって進めていかれたんですか? 諸星 牧原が映画『音のない世界で』の配給に関係していて、映画業界のことがある程度わかっていたこと、私はブリジット・ルメーヌ監督の作品が気になっていて、どうしても見たい、映画祭で上映したい作品があったこと、もちろん牧原にも上映したい作品がたくさんありました。そういう思いが一致して、「映画祭、やろう」ということになったんです。本格的に始動したのは『LISTENリッスン』の上映が落ち着いてから。最初は2人から始まり、同作に関わった広報担当者さんたちもチームに入ってくださって、計4人で映画祭の準備を進めていったのです。海外の映画を上映することについては、それぞれが公式サイトの問い合わせ先や作品のフェイスブック、メールを通して連絡を取り合い、作品上映の許可などを進めていきました。 次のページ 123次のページ Amazon 想い出の街 関連記事 「聞こえない人をわかって」とは思わない! ろうの映画監督が語る、健常者との“壁”「発達障害があるから、アタシは“さかもと未明”になった」生きづらさを抱える人に漫画で届ける希望摂食障害は病気ではなくて性格!? 「瘦せ姫」たちが異常に“瘦せ”にこだわるワケ化粧をすると健康になる!? 視覚障害者や高齢者の「美しくありたい」を支えるケアメイクの驚くべき効果「健常者が考えつかない世界がある」身体障害者の劇団主宰が語る、障害者にしかできない表現