サイゾーウーマンカルチャーインタビュー犬猫が高齢者の認知症を改善⁉︎ カルチャー 特別養護老人ホーム「さくらの里山科」施設長・若山三千彦氏インタビュー 犬猫が認知症を改善⁉︎ 特養の高齢者にもたらすメリット 2017/03/09 15:00 インタビューペット介護 ■ペットの存在は、心身ともに良い影響を与える 猫と入居できるユニットのリビングでくつろぐ入居者とチョロ ――実際に、犬や猫を連れて入所された方はどのくらいいらっしゃいますか? また現在、ペットは何頭くらいいるのでしょうか? 若山 入居時に連れてこられたペットは、これまでに犬4頭、猫4頭です。意外に少ないと思われるかもしれませんが、実は、こちらに来られる前に、ペットとの暮らしを諦めて過ごしておられた方が多いのです。かわいがっていた子(ペット)が亡くなったが、自分は高齢だからもう飼わない。こちらに入居する前に入ったほかの施設ではペットが飼えなかったから、誰かにあげてしまったなどという方がほとんどです。 ペットのいるユニットへの入居は、希望者の方のみですが、そんな状況で、飼いたくても飼えず諦めていたペットと、もう一度一緒に暮らせるようにしようということでもあります。そのため、入居者のペットとは別にホームで飼っているペットもいます。 ちなみに現在、犬が7頭、猫が9頭いて、入居者の方が連れてきた犬は3頭、猫は4頭。あとは保護犬、保護猫を譲渡してもらったホームの子たちです。 ――実際にペットがいることで、どういう効果があるのでしょうか? 今までどういった実例がありますか? 若山 やはり動物好きな方にとって、ペットの存在は大きいですね。心身ともに良い影響があります。例えば、認知症の進行が遅くなったり、認知症が進んでしまって表情が乏しくなったり、家族の名前がわからなくなっていた方が、お気に入りのワンちゃんの名前を覚えて犬とコミュニケーションを取っていたら、だんだんご家族の名前も思い出し、再び会話ができるようになったり……。 また、車椅子を使うと生活意欲が低下しがちなのですが、お気に入りのペットを探して、車椅子を自分で動かしてあちこちに行くことで、良い運動になっているケースもあります。 それから高齢になると筋肉の拘縮が起こりやすく、腕などが動きにくくなる傾向がありますが、犬や猫がそばに来るからなでようとして腕を動かしていたら、動くようになってきたなどということもあります。 昨年、ワンちゃんと入居された方は、体が動かなくなる病気で、自宅ではほとんど這って移動しているような状態でしたが、愛犬のことを考えて、どこにも行きたくないと、施設行きを拒否されていました。しかし、当ホームでは最期まで一緒にいられると聞いて、安心して入居されました。その後、こちらで適切なリハビリを受けられたこともあって、体の機能もかなり回復しています。 もちろん、認知症や体の症状が大きく改善されるまでのことはありませんが、このようなわずかな変化であっても大きな意味があります。 ひざの上のジローを話題に会話が弾む ――今後、ペットの飼えるフロアをもっと増やすなどのプランはおありですか? 若山 今は特にそういったプランはありませんが、いずれニーズがあればそうなるかもしれません。 動物好きな方は、ペットがそばにいるだけで認知症の症状が改善されたり、心身の状態が良くなったりします。それが、旅行が好きな方なら、旅行に行くと元気になったり。ミュージックセラピーなどの例もあるように、音楽なども良い影響があります。要するに好きなことがいちばん、心と体に良い影響があります。 ですので、今後もペットに限らず、入居者お一人おひとりのニーズに応えていくこと、生活の質を上げることをいちばんに考えていきたいと思っています。 (村田泰子) ・社会福祉法人 心の会 特別養護老人ホーム「さくらの里山科」 前のページ12 最終更新:2017/03/09 17:56 Amazon すべての猫はセラピスト 猫はなぜ人を癒やせるのか いろんなドラマがある 関連記事 認知症介護の終末に「幸せな死=ハッピーエンディング」はあるのか?「認知症の義母に対して距離を持って見ている」城戸真亜子が語る、無理をしない10年介護介護現場でセクハラが多い理由 見て見ぬ振りをされた高齢者の性20代で親の介護、30代で育児と介護―『笑う介護。』岡崎杏里氏「自分の人生をあきらめない」「男性ヘルパーはかわいがられてナンボ」おばあちゃんからの視線が重い介護士 次の記事 上沼恵美子「堀北はうまいこといかない」 >