難攻不落のガーリーワールド崩壊間近!? 大衆に迎合し始めた「LARME」の危機
■大衆化しつつある「LARME」
「LARME」の思わぬ変化の理由を考えていたところ、納得させられる特集に出会いました。毎年恒例、「LARME女子の中で本当に流行っているものランキング2016」です。こちらは、「LARME」モデルと読者の総勢1176名にさまざまなアンケートをとり、それをランキング化した内容になっています。
好きなファッションのテイストは、1位が「甘めガーリー」2位が「甘めカジュアル」。ひと月のファッションにかけるお金は、40%が「1~2万円」。よく買い物するスポットは、1位が「ラフォーレ原宿」2位が「渋谷109」などなど。好きなファッションブランドも、決して高くない、高校生に人気のブランドが並びます。
そう、今号の「LARME」は、このアンケート結果を反映させているかのような内容に見えるのです。つまり、「LARME」が対象年齢を低くした、もしくは読者自体が低年齢化した、というよりも、「LARME」が大衆読者に迎合する雑誌作りをした結果、低年齢化したように見えたのではないかと、筆者は感じました。
かつては「LARME」が主体となって、これまで誰も気づかなかった新しい世界観や考えを提示し、一部の読者から強い共感を呼んでいたように思います。大衆読者に迎合するのは手っ取り早く手堅い手法であるとは思いますが、それが「LARME」女子の心をガッチリつかむかは別の話。それに、読者の興味関心なんて常に移ろい変わるものなので、こういったアンケートなどは、長期的に見ればあまりアテにならないのではないでしょうか。「LARME」流ガーリーが暴走するところを見たい読者は大勢いるはずですよ!
■転職サイトの体験記を思わせるモデルインタビュー
最後に、「LARME」の人気モデル5人が振袖姿で新年の挨拶をする「きものと少女の絵本」を見てみましょう。菅野結以さんは、自身のブランド「クレイミー」について振り返り、「『大手資本と提携するべきか?』とか、ブランド展開の方向性ですごく悩んだ1年だったけど……(略)その結果のSSコレクションでは、過去最高の売上を更新できて、自分の中ですごく自信になった」などと、可愛い振袖とは対照的に、熱い大人のサクセスストーリーを語ってくれています。なんだか転職サイトの体験記にありそう。
そう、「LARME」の象徴的人物ともいえる人気っぷりで、古くから本誌を支えてきた菅野さんですが、もう29歳。そして事情はわかりませんが、今号はがくんと露出が減っているように見えます。
低年齢化もしくは大衆化ともいえる変化を見せつつある「LARME」と、彼女なりの信念を持ち、中郡元編集長とタッグを組んで活躍してきた菅野さん。筆者からすると、両者は別の方向へ少しずつ離れていっているように思えます。昔からウォッチしてきた筆者にとっては寂しい気もしますが、本誌は、より根本的な変化を問われている時期なのかもしれません。次号以降も、「LARME」はどのように変化していくのでしょうか。
(小麦こねる)