難攻不落のガーリーワールド崩壊間近!? 大衆に迎合し始めた「LARME」の危機
「黒船来航」と筆者が勝手に称した前号のおさらいをします。カリスマ編集長・中郡暖菜さんが引退し、ほぼ男性目線不在のガーリー雑誌であった「LARME」(徳間書店)編集部に、男性の編集長が就任。「甘いホーリーナイトを過ごすための指南書」という、きわどいランジェリー姿のモデルたちが、5ページにわたってポージングをするというハレンチな特集を組む荒業に出たのでした。さて、今号の「LARME」は一体どうなっているのでしょうか!? 怖いもの見たさ半分で、さっそくチェックしていきたいと思います。
<トピック>
◎Make a sweets pretty chocolate girl
◎Cosme Award 2017
◎きものと少女の絵本
■貞操観念を取り戻した「LARME」
残念。ひとことで言いますと、男ウケ要素のある特集はまったくなく、全体的に健全な誌面でした。期待していたバレンタイン企画も、不発に終わっております。カカオ濃度のパーセンテージ別・チョコレートカラーのコーディネートや、チョコレート風のメイク、おすすめチョコレート菓子特集など甘~い特集しかありません。恋愛要素を感じさせる箇所を、強いて挙げるならば、チョコ特集での「味も見た目もパーフェクトな本命チョコをご紹介♪」というコメントくらいでしょうか。不自然なほどの貞操っぷりです。前号がよっぽど不評だったのでしょうか?
誌面全体を見てもう1つ感じたことは、今号から、10代後半~20代という本誌の対象年齢を少しだけ低くし、“高校生”に明確なアプローチし始めているように見えるのです。例えば「Street Baby」という公園ロケでの特集があり、「こういう子、原宿とか渋谷で見たことある!」という既視感のあるコーデばかり。これまでの「LARME」が得意としていたちょっとアンニュイで大人っぽいガーリーなコーデではなく、高校生のトレンド服にガーリー要素を足した、といった感じです。淡いグレーのハイネックにピンクのMA-1を羽織り、ワイドパンツをはき、ソックスにファーサンダルを合わせ、キャップをかぶった高校生。街で見かけたこと、一度はありませんか?
この特集に限らず、カジュアル、ストリート路線のガーリーなコーデが増えた印象です。また登場ブランドも渋谷109や原宿ラフォーレに入っているものがかなり多く、頭のてっぺんからつま先まで揃えてもそこまで高額ではなさそう。ごく普通の高校生でも、全身真似ができそうです。さらに、「LARME的ベストコスメランキング」というコスメ特集を見ても、誌面でよく紹介されていたYSLやポール&ジョーなどのデパコスより、キャンメイク、セザンヌといったプチプラコスメがランキング上位に多く挙がっています。