「SMAP解散」「のん独立」「ベッキー不倫」「フジ凋落」芸能ニュースを弁護士が斬る!
◆「フジテレビ凋落問題」――亀山社長を選んだ株主にも問題はある
バラエティにドラマにと、高視聴率を連発し、テレビ界を席巻していたフジテレビが、ここ数年絶不調に。特に16年は、看板の月9ドラマが2期連続で史上ワースト視聴率を更新するという大惨事となった。13年に亀山千広氏が社長に就任してから、視聴率が低迷しているともいわれ、さらに現在、亀山社長の肝いり企画がことごとく大コケしている状況には、社員からもブーイングが巻き起こっているという。もし社員が、社長の企画に拒否の姿勢を示した場合、それでも「続行せよ」と強要するのは、問題にならないのだろうか。
【近衞氏の見解】
社長が代わった途端に経営が悪化する例はよくありますね。ただ、フジテレビの場合、さまざまな要因があるとは思いますが。株式会社は、株主総会で社長を決めるので、落ちた名声を立て直すのは社長の仕事ですが、それができない人に任せ続けた株主にも問題はある。たいていの場合、亀山社長のように、一社員から出世した人は、自分の調子のよかった時代を物差しにすることが多いので、現状に見合った対策が打ち出せないことはよくあることですね。
また、社長が自身の企画を現場にごり押ししているという点ですが、「強要」がどういう内容かにもよるものの、普通はパワハラにはならないでしょう。「ごり押し」だろうが、「勝てば官軍」。そもそもヒットするかどうかなんて事前にはわからないのですから、「こんな企画ヒットするわけがない」といって従業員が拒否したら、そっちの方が問題です。むしろ業務指示違反として、従業員が懲戒される可能性すらあります。結果的にヒットしなければ、企画をごり押した社長が責任を取る……それがリーダーシップというものです。まあ従業員としては、自分がトカゲのしっぽにならないように自己防衛する必要もあるかもしれませんが。
(取材・文/和久井香菜子)
近衛大(このえ・だい)
森田・高橋法律事務所所属。第一東京弁護士会労働法制委員会均等法部会・労使関係部会副部会長。早稲田大学法学部卒。労働事件(使用者側)を専門とする。共著に『なぜ景気が回復しても給料は上がらないのか (働く・仕事を考えるシリーズ)』(労働調査会/倉重公太朗、内田靖人)がある。