伝統や文化はクソ食らえ!? 京都「御金神社」の拝金主義すぎる“アウト”なおみくじ
境内のここそこに金の文字や色があふれ、お守りももちろん金なので、売り場はもはや後光が差す勢いである。
さてここには、「福財布」という代物が売っており、出向いた日には、ちょうど在庫がある日だったらしく、結構な人で賑わっていた。
取材で来たのなら、福財布を買わないわけにはいかないだろう。……だけど、なんか、どうしても食指が動かないんである。
自分の美的センスと合わないというか、「わあ、すごく欲しい!」と思えなかったのだ。ちょっと迷ったが、とりあえず「大大大吉入りのおみくじ」を買ってみた。勝手におみくじルールを追加するこのフリーダムな感じ。伝統とか文化とかくそ食らえな姿勢がすがすがしい。どうせだったら「大金吉」とか、ここにも金の字を入れたら統一感が出てブランディング的には正解じゃないだろうか。
おみくじには買い物運として、「第一印象で決定」とあり、「心の声に耳を傾けて」とある。……そうか。心の声に耳を傾けたところ、「福財布はいらないんじゃないか」と言われている気がするので、購入は見送ることにした。
購入前にサイトをいろいろ見たが、福財布にどうご利益があるのか全然わからないんである。「福財布に入れておいた宝くじが当たった」とか、ズバリな口コミでも見つかったら即買いだったかもしれないんだけど。
その代わり、3カ月ほど前だが、絵馬を書いたので、こちらの御利益を期待したい。果たして願いは叶うのか……!
御金神社に行くと、田舎の成金豪邸が思い浮かぶ。虎の毛皮に掛け軸と壺、畳にじゅうたん、みたいな豪華絢爛な居間。絵馬に書かれたお願い事もみんな直球だし、「奥ゆかしい」という言葉がこれほど似合わない神社も珍しいんじゃないだろうか。
和久井香菜子(わくい・かなこ)
少女漫画マイスター、文筆家。『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。ネットゲーム『養殖中華屋さん』の企画をはじめ、語学テキストやテニス雑誌、ビジネス本まで幅広いジャンルで書き散らす。