カルチャー
お笑い芸人・ヒロシさんインタビュー(後編)

「苦労しても、報われない」が現実! ネガティブ芸人ヒロシの幸せとは?

2016/12/24 15:00
新刊『ネガティブに生きる。~ヒロシの自虐的幸福論』を手にするヒロシさん

(前編はこちら)

■死んだら暗闇でおとなしく過ごしていかないといけないかもしれない

――本の中で「苦労しても、報われない」と書かれていましたが、悲しい現実ですよね。

ヒロシ 苦労すれば、報われるという言葉は、貧乏人をだます言葉だと思っちゃったんですよね。だって、報われることはないんですもん。いつまでたっても、どうしても使われる側になる。テレビに出ていれば、絶対的な幸せが待っていると思っていたんです。けれど、思ったほど生活の変化もない。ご存じのとおり、調子の良い時と悪い時がありますし、調子の悪い時はクソみたいな扱いを受けます。

 結局、人の顔色をうかがって生きていかなければいけないし、使われる側の人間でしかない。やっぱり大きな会社には、かなわないんですよ。

 極端な話をしますけれども、高校生の時に駐車場の警備のアルバイトをしていて、時給360円だったんですよ。いくら田舎の高校生とはいえ、360円はやっぱり安い。安すぎる。600円ぐらいが平均だった時代ですよ。そこから、制服代とか引かれたりして、実質、もうちょっと少なかったんでしょうね。

 でも、マジメな人ほど辞めない。日本人には辞めないこと、最後までやり通すことが、美徳だと考えるところがあるじゃないですか。でも、そんなところでやり通すよりも、違うところへ行ったほうが、全然、楽なわけじゃないですか。気づかないで、まじめな人ほどずっと続けてしまう、というばかなことがまかり通っている。

――ただ、辞め時も難しいですよね。

ヒロシ それは難しいですね。例えば、仕事でいじめられて、辞めたい。給料も安い。何の希望もない。それでも、辞めることはやっぱり不安ですよね。辞めることが、何となくいけない、と思うところもありますよね。でも、死にたいと思ったら、辞めたらいいじゃないですか。別のところに行けば、給料下がるかもしれないし、ブランド力のある仕事にはつけないかもしれない。けれど、自ら命を絶つぐらいなら、辞めたほうがいい。

 今の日本なら就職しなくても、生きていけますよ。余裕で。多摩川沿いとか、テント張って暮らしている人がいるじゃないですか。彼らの家には、軒下にマットを敷くとかではなくて、ちゃんと床下があるわけですよ。発電機もある。犬もいる。それで、税金も払ってないわけでしょう? いいなぁ、と思いますもん。リバーサイドで。

――言い回しひとつでよく聞こえますね(笑)。でも、多摩川沿いは本当にとんでもないことになっていますよね。

ヒロシ 10年近く前にiPod touchが出た時、値段も高いし、使うかなとか相当悩んで、でも、音楽がたくさん入るしと思って、最高ギガのものを6 万円ぐらいで購入したんですよ。それで、ある日、川沿いを音楽聴きながら歩いていたんです。そうしたら、リバーサイドの住人が同じもの持っていましたからね。俺が相当悩んで買った同じものを。最悪、今の日本だったら、生きていけるんですよ。死ぬぐらいだったら、逃げたほうがいい。

 だって、死ぬのは怖いですよ。死んだ後、どうなるんですか。終わりだと思っているでしょう? これね、誰もわからないんですよ。地球があって、宇宙がある。いまだにどこまであるか、わからないんですよ。無限。すごく怖くないですか? 例えば、死んだ後も、意識があるとして、時間の終わりがない世界が待っているかもしれない。時間のわからないまま、暗闇でずっとおとなしく過ごしていかないといけないかもしれない。超怖くないですか。

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