お笑い芸人・ヒロシさんインタビュー(後編)

「苦労しても、報われない」が現実! ネガティブ芸人ヒロシの幸せとは?

2016/12/24 15:00

■僕は常に「あわよくば」精神で物事を考えている

――今の世の中で生き抜いていくためには、何が必要ですか?

ヒロシ 芸人も昔はネタだけをやっていれば、おもしろいかつまらないかだけだったと思うんですけれど、今は違うじゃないですか。理想はネタだけやって、食っていくことがカッコイイでしょうけれど、それだけじゃ生きていけないですからね。

 だから、好きなことをやるのが一番。それには、後悔がないじゃないですか。YouTubeの『ヒロシちゃんねる』で、趣味のキャンプの様子を流しているんですよ。楽しいから。友達とキャンプ行って、動画を撮ってアップして。それほど見られていないとはいえ、多少なりとも広告収入が入ってきます。

 さらに、これを見たキャンプ用品のメーカーさんから連絡がきて、お仕事につながったら……と思っていたら、実際にありましたからね。動画をアップしていなかったら、なかった話です。僕は常に「あわよくば」精神で物事を考え、生きています。


――確かに重要なことですね。

ヒロシ 小学校3年生の時、インベーダーゲームが、すごくブームだったんですよ。ゲーム機が置いてあった、近くの駄菓子屋さんに通いつめて、ゲームをすることが仕事になればいいなぁと思っていました。そんなことがかなったら夢みたいだな、と思ったんですが、今、あるじゃないですか!? まさかですよ。まさかゲームをプレイして金になるとは、誰が想像しましたか? おもしろいことのひとつも言わない。でも、あれを見る人がいるんですから。

 今の世の中は、趣味や仕事など考えられないほどの細分化が行われているわけです。好きなことが仕事につなげやすい時代になった。ピコ太郎さんだって、ジャスティン・ビーバーにツイートされたり、何があるかわからないわけですよ。好きなことをいっぱいやっておく。何でもいいんですよ。浮浪者だったら、毎日、日記を書き続けておいたら、いつか本になるかもしれない。日本で1円もなく、生きる方法とか。ちょっと興味ありますもん。

――ヒロシさんにとっての幸せはなんですか?

ヒロシ 頑張った人が報われる世界ですね。正しいことが正しい、悪いことは悪い、という絶対的な評価とか、白黒はっきりしている世の中であってほしいです。


 ヒロシに仕事をお願いしたいなと思った時に、いろんな会社が間に入って、抜いて、抜いて、抜いて、抜いて、ギャラが1万円とかになる。何もしないで、口先三寸で“チョリ~ス”とお金を奪い、うまいことやってきた人たちがたくさんいるわけですよ。芸能界だけではなくて、大体そうじゃないですか? こっちは、長年、無一文に近い生活をしてやっと売れたのに。僕が売れっ子の時は「ヒロシを使ったんだ」という理由でいい女を抱いて、ということが目に見えているわけですよ。それが現実ですよ。

 でも、そのことがバレると、みんながチョリ~スを目指してしまうので、金持ちは真面目に頑張れば、いつか上にいける、いつか幸せになれるから、という教えを与える。でも、金持ちは何もしないでも、富を得ています。苦労すれば報われる的な言葉を無条件に信じる人たちがいないと、成り立たないんですね。いつか上に行くんだ、と頑張ってのぼりつめると、最終的にさらに上でチョリ~スが待ち受けている。

 世の中、何もしないでお金を奪っていく人が多すぎる気がします。本当は、頑張った人が報われれば一番良いと思うし、そうなることが当たり前だと思います。
(上浦未来)

ヒロシ
1972年生まれ、熊本県育ち。お笑い芸人。著書に『ヒロシです。』『ヒロシです。②』などがある。10万部を超える大ヒットとなった日めくり『まいにち、ネガティブ。』が話題に。2016年10月には2冊目となる日めくり『今日のネガティブ。』も発売。趣味はソロキャンプ。YouTube『ヒロシちゃんねる』でキャンプの模様を配信している。タレント活動以外にも『カフェ&カラオケ喫茶ヒロシのお店』も経営。ヒロシ公式HP『ヒロシの部屋

最終更新:2016/12/24 15:00
ネガティブに生きる。~ヒロシの自虐的幸福論
ゲームするのが仕事って高橋名人くらいだったよね