「キャバ嬢としての全盛期が忘れられない」夜の世界から足抜けできなかった女たちの今
夜の商売で働く女性たち。彼女たちはそれぞれに事情を抱え、本当はやめたいのにやめられずにいる……などというのは昔の話。ヘルスなどの射精産業には暗い裏事情を持つ女性たちもいるというが、キャバクラ嬢たちの中には、至ってカジュアルに夜の世界で働いている女性たちも多い。
■キャバクラを辞めた後は株を始めたり、会社を立ち上げる子も
「こないだ昔なじみの黒服がぼやいていましたよ。指名もついて、さあこれから稼いでくれるぞ! って期待していた子が、『彼氏ができたから辞める』ってLINEで送ってきたってね(笑)。それからひと月もたたないうちに別の店で働いているってうわさを聞いて、その店に行ったという客に聞いたら『彼氏と別れたから復帰した』って笑って話していたそうです。店は売れっ子のキャストがひとり抜けたら、けっこうダメージを受けるんですけどね」
そう話すのは、かつてキャバクラを経営し、今でも店にドレスやスーツを販売する外商として夜の世界に関わるM氏。長年この世界で生きているM氏を慕うキャバクラ関係者は多く、そんな愚痴を聞くのも仕事のうちだ。
「キャバ嬢が店を辞める理由としてよく聞くのは、彼氏がらみですね。彼女が客とはいえ他の男とLINEやメールのやり取りをし、仲良く話をしているのに焼きもちを焼いてしまうんだとか。目端の利く子の中には、キャバ嬢として働いている間に人脈をつくったり、いろんな知識を身につけたりして、店を辞めた後は株を始めたり、会社を立ち上げる子もいます。どんな会社かって? よく聞くのはペット関連です。ペットを飼っているキャバ嬢は多いから、その延長でビジネスを始めるみたいです」
■夜の商売の門戸は広くなっているから、働き口に困らない
M氏によれば、キャバで働くのは20代。できれば20代半ばまでで足を洗いたいと思っているキャバ嬢が多いという。キャバを抜けた後の身の振り方は結婚、企業の一般職への就職などさまざまだが、中には夜の世界にどっぷりつかり、抜け出せなくなる子も多い。
「見た目が若ければ年齢をごまかして働くこともできるし、ただ若いだけの子より、アラサーくらいの落ち着きのある子の方がいいっていう客もいますからね。30代、40代になっても熟女キャバクラがあるから、働く場所には困らない。太っている子を雇うポチャ専の店もありますしね。夜の商売の門戸は広くなっているから、働き口に困らないという『いい面』がある反面、抜け出せなくなるという『悪い面』もあるんです。選ぶのは本人の自由だから、私がとやかく言うことじゃありませんが、歩けなくなるくらい酒を飲んで、泣きながら愚痴を言っている子を見ると、『ああ、辞めた方が体にもいいのにな』と思います。気楽に働いているように見えても、指名や売り上げなど、彼女たちもいろんなプレッシャーと戦い続けていますから」
そういうキャバ嬢たちを見ていると、M氏は若かりし頃の顧客だった、キャバレー嬢たちを思い出すという。バブル真っ只中で羽振りの良かった頃、景気よく金を使ってくれた彼女たちも、バブル崩壊による景気の低迷、それに伴い夜の世界も大箱のキャバレー全盛からキャバクラがメインとなっていく中で、ひとり、またひとりと夜の世界から足を洗っていったというが……。
「たまに商売で顔を出す店にね、バブルの頃からの顔なじみがいるんです。キャバレー、キャバクラ、スナックと流れて、今はまたキャバレーに戻ったそうです。あのドラマ、『キャバすか学園』(日本テレビ系)でしたっけ? 全国のキャバクラを渡り歩いているっていう子(小嶋陽菜演じる「こじはる」)が出てきましたが、あの子みたいに、いろんな土地の店を渡り歩いているベテラン嬢は意外といるんですよ」