コラム
一ノ瀬文香の「夜のお店で働いてみた」レポート

女だけどニューハーフバーで働いてみたレポート なぜお客さんにバレなかったか?

2016/12/11 19:00

■ベテランキャストの真心がこもった接客

高級感のある店内

 ベテランキャストのふうさんを目当てに来ている、常連客の席についたときのことです。彼らは男性2名、女性1名で来ていました。ふうさんはちょっといじわるなことを言って女性客をいじり、彼女のほうも負けじと、ふうさんをいじり返していました。「ブス」なんて言い合ったりして。

 でも、ふうさんは女性客が好きなお菓子を知っていたようで「これでも食べてなさい」と言って、たくさん席に持ってきて渡したり、飲みゲーム(ゲームに負けた人が飲む)をしたときは彼女がなるべく負けないようにしたりと、さりげなく気遣っているのです。彼女も男性客たちに対して「しょうがないから、ふうさんの◯日のバースデーパーティーに来てあげましょ」と誘ったりして、ふうさんに対する気遣い、そして信頼を感じました。

 お客さんに対してわざといじわるなことを言う「下げの接客トーク」は、よほど接客がうまい人でなければ通用しません。接客がなっていない人が同じことをしたら、ただの失礼なキャストと見なされ、場の雰囲気を壊してしまいます。「下げの接客トーク」は、お客さんの様子をしっかり感じ取れて、言うタイミングを考えられて、より真心を込めた「上げの接客」ができてこそ、言葉遊びとして生かせるのだと思います。だからこそ、ふうさんのすごさを感じました。

 朝5時近く、そろそろ閉店ということで、ふうさんが素晴らしい歌声を1曲披露して、お客さんたちがみんなお帰りになりました。

 キャストたちには、営業中の合間や帰り際に「これから何曜日に出勤するの?」と聞かれ、私は「とりあえず今日だけの約束で……でも、働けなくても、また遊びに来ます! みんなに会いに!」と約束。働いたあとで疲れているだろうにみんな笑顔で「お疲れさま!」と言ってくれて、中には出口まで私を見送ってハグしてくれたキャストのコもいました。男性客で「このお店に来ると癒やされる」とおっしゃっていた方がいましたが、遊びにではなく、働きに来てみた私も癒やされてしまいました。また1人でも遊びに行きます。みなさんもいかがでしょうか?

朝までカマ騒ぎ
神奈川県川崎市多摩区登戸2663東洋ビル4階
044-933-0678
営業時間 平日22~4時、金・土・祝前日22~5時
定休日 日曜
システム 30分1680円(指定リストにあるビール、焼酎、ウイスキー、ブランデー、カクテルが飲み放題。税・サービス料別)

一ノ瀬文香(いちのせあやか)
よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属タレント。コメンテーター、アクション女優。お酒は弱いのに飲み屋が大好き。特に新宿二丁目や三丁目、ゴールデン街あたりに、16年以上前からよく出没している。六本木の高級クラブFの元ホステス(5年間)や、二丁目のミックスバーで雇われママをしていたことも。現在も二丁目のミックスバー“プチ!NATURAL”のプロデュースをしていたりと、水商売のプロでもある。2009年に週刊誌でレズビアンをカミングアウトし、15年にはミュージカル女優と挙式。プロフィール

最終更新:2019/05/21 16:45
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