カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「CLASSY.」1月号

あれほど妄信していたのに、「主婦っぽい」「コンビニ服」と「CLASSY.」がこなれを卒業

2016/12/11 17:00
「CLASSY.」2017年1月号(光文社)

 ようやく長い戦いに終止符を打つのでしょうか。今月号の「CLASSY.」(光文社)、特集は「そろそろオシャレの気合いを入れ直さなきゃ!」。あれほど“コンサバを捨てよ、こなれに走れ!”と流布してきた「CLASSY.」がついに、ついにカジュアルからの卒業を宣言しました。リードでは「“こなれ感があってカッコいい”と思って着ていたコーディネートも、冷静になってみると近所のコンビニに行く服に見えてきたり」と、数年妄信してきたにもかかわらず、急に冷静になってしまったよう。そんなこと言ったら「近所のコンビニに行く服」のために慣れないコンバースをはき、正解がわからないままスエットをはき、ぐりんぐりんに巻きたい気持ちをグッとこらえて髪の毛をボッサボサに仕上げた素直な読者たちが往生しまっせ……!!

<トピックス>

◎特集 そろそろオシャレの気合いを入れ直さなきゃ!

◎“主婦っぽい”と言われないカジュアルの正解

◎小泉里子、35歳の決意

■誰も幸せにしなかった、こなれ

 ファッションの揺り戻しは、女性誌の醍醐味でもあります。特集の導入ページには、匿名の「スタイリストA/B」「CLASSY.読者C/D」「ビジネスマンE/F」がコソコソヒソヒソと、こなれカジュアルが終わったファッションであることを証言していますが、それがまぁひどい言われよう。ビジネスマンたちが「昨日の合コンさぁ、パーカにニットキャップ被って来たコがいたんだよね」「カジュアルって子供っぽく見えるし華やかさが足りないよね」と批判すれば、プロであるスタイリストたちは「そもそも、こなれカジュアルって読者には難しかったかもしれない」「ハズし方とか絶妙なさじ加減って、読者にはわかりにくかったかも」と、ウソでしょ……的発言、主役の読者までも「カジュアルって楽だけど、やっぱり地味だし野暮ったく見えちゃう」「カジュアルアイテムをハンサムに着こなせる人がオシャレだと思っていたけど、実際にやってみると、すごく難しかったかも」と本音をぶちまけます。恐ろしいくらい誰も幸せにしていなかった、こなれ。まさに“昨日のカジュアルは今日の敵”。

 なぜこうも急に「CLASSY.」が方向転換を始めたのか。もちろん流行とはそういうものでしょうが、こんなページにそのヒントが。それが「“主婦っぽい”と言われないカジュアルの正解」。読者緊急座談会では4人の主婦がカジュアルな服に付きまとう「主婦見え」の悩みを告白。いやだって主婦ちゃいますのん……というツッコミはさておき、気になったのはその中の1人が話していた「ちょっと前の流行を着ていたり、楽ちんさ優先の服を着ていると主婦感が出ちゃう」。

 そうです。こなれカジュアルがその特性「動きやすい」「楽」「アイテムが比較的リーズナブル」から主婦層に広く行き渡り、その結果「こなれカジュアル=生活感」というイメージが強く出るようになってしまったのです。はやりすぎてダサくなってしまう、それは90年代後半~00年代初頭、母親が「DKNY」と書いてあるTシャツを着ているのを見た時、誰しもが痛感したのではないでしょうか。とにかく、こなれブームの終焉に、結婚したくてたまらない「CLASSY.」読者のコンプレックスである「主婦っぽさ」が起因していたとは、ファッションとはなんて皮肉で趣深いものなのでしょう。

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