不安いっぱいのアラフォー独身女性が楽になる暮らし方 『東京シェアストーリー』原作者・髙橋幹子さんに聞く
国立社会保障・人口問題研究所によると、50歳の時点で一度も結婚していない人の割合の「生涯未婚率」は、1965年時点で男性1.5%、女性2.5%だったが、2010年で男性20.1%、女性10.6%と上昇の一途をたどってきた。このままだと35年には男性29%、女性19.2%にのぼると試算されている。男性の3人に1人、女性の5人に1人が「一生独身」になるのだ。
そんな中、シェアハウスの普及に伴い、これらをテーマにしたバラエティ番組や漫画も登場している。シェアハウスに住むアラフォー独身の5人の女性が織りなすドラマを描いたコミック『東京シェアストーリー』(徳間書店)もそのひとつだ。ドラマ化を望む声もあるこのコミックの原作者・髙橋幹子さんに、独身女性の「終の棲家」としてのシェアハウスについて聞いた。
■アラフォー独身女性の哀しみは「本物の哀しみ」
――『東京シェアストーリー』は、とても身につまされるお話でした。フリーランスの脚本家・遥、クールな努力家で厚労省キャリア官僚の亜矢子、マイペースな雑誌編集者の稚子、最年長で癒やし系の派遣社員ユリ、明るい妹キャラのOL・莉乃の5人は、それぞれ将来への不安を常に抱えています。
髙橋幹子さん(以下、髙橋) 作品には、私の今の「不安」をすべて込めたんです。景気はよくないけど、こんなに自由な時代で、欲しいものを手に入れている人はたくさんいるのに、なぜ自分はうまく生きられないんだろうと。私が欲しいのは、夫や子ども、安定した仕事、そして家ですね。でも、今の私にはすべてハードルが高いんです。
なので、作品の5人の登場人物の中でも、遥とユリには特に思い入れがあります。フリーも派遣も不安定で、ないないづくしの中で不安と戦っています。そういう女性は多いと思います。
――5人の女性は、みんな立場や職業が異なりますね。
髙橋 はい。意味を持って登場させています。亜矢子は社会学者の上野千鶴子さんがモデルで、いつも現実や未来を冷静に分析しています。稚子はいい意味で自信を持っていて、莉乃は若さのすばらしさの象徴です。若いっていいですよね。
――確かに、アラフォー世代の不安は若い人とは違いますね。
髙橋 そうなんです。もちろんアラフォー以外の世代の方にも不安はありますよね。でも、アラフォーの独身女性は、出産・子育てのタイムリミットや更年期、親の介護などリアルな不安や哀しみにさいなまれているんです。
私も朝起きると、ものすごくへこむんですよ。実家はまだありますが、親も高齢ですし、今住んでいるところは賃貸。人生がすべて借り物のような気がして、この先どうなってしまうんだろうと……。作品は、そういうところから生まれました。
――そうした不安を抱える独身女性は多いですよね。みんなでシェアして暮らせたら、気持ち的にはラクになるかもしれません。
髙橋 はい、そう思って書きました。テレビドラマは、「現在(いま)」を切り取ることが大切なので、それを意識しています。シェアハウスはまさに現在の問題です。