サイゾーウーマンカルチャーインタビューアラフォー独身女性が楽になる暮らし カルチャー 【独身でも孤立しない暮らし方を考える】第2回 不安いっぱいのアラフォー独身女性が楽になる暮らし方 『東京シェアストーリー』原作者・髙橋幹子さんに聞く 2016/11/19 15:00 インタビュー ■血縁に頼らぬ生き方が必要になってくる 『東京シェアストーリー 』1(徳間書店) ――読者の反響はいかがでしたか? 髙橋 連載されていたのが青年漫画雑誌の『月刊コミックゼノン』(徳間書店)で、男性には微妙だったところもありますが、アラフォーの女性からは共感をいただいています。電子版で読んでくださったオーストラリア在住の方から「今の日本て、こうなんですね」と感想をいただいたこともあります。 一方で、作品を「ファンタジー」だと言う人もいらっしゃいます。他人と暮らすなんて、そんなに甘いものではないということですね。確かにそうかなとも思いますが、今後ますます賃金格差や貧困が広がり、結婚できない・家族がつくれない「家族難民」が増えてくると思うんです。だからこそ血縁に頼らぬ生き方が必要になってくるのではないかと。そこで家族をつくれない人たちが集まって、新しい家族をつくるという、この先の世の中の一つの道標になるような「希望の話」として書かせていただきました。 ――シェアハウスゆえに起こる問題は皆無とまではいえませんが、あるとしても人間関係としてありがちな問題がほとんどだと思います。 髙橋 はい。作品でも書いたのですが、些細なことで衝突も起こります。でも、それはどこでもあり得ることですね。むしろメリットに注目したいですよね。女性限定ではなく、いろんな世代の男女が住めるシェアハウスもありますし、セキュリティ面や万が一何かあった時でも、独り暮らしより安心です。 ――高橋さんは、実際にはシェアハウスには住んでいらっしゃらないんですね。 髙橋 はい。実は絶賛婚活中なんです(笑)。作品のような暮らしにも魅力を感じますが、まずは夫と暮らしたいので。子どもも欲しいです。 ――メディア関係のお仕事で出会いはないんですか? 髙橋 私にとって仕事は“戦い”なんです。戦場で出会いなんかあり得ませんよ。 ――家族がいないと孤独死も不安ですね。 髙橋 それは、あまり心配していないんです。死んでしまったら、もうわからないじゃないですか。他人さまに迷惑はかけますが、それよりも生きている間が問題だと思っているんです。「選択的シングルマザー」や精子バンクにも興味があります。 国際的には選択的シングルマザーも認められている国が多いのに、日本は遅れていますよね。キャリアアップに専念してきて、妊娠が難しくなる40歳近くになってもパートナーに恵まれない女性が「子どもだけは生んでおきたいと思う」のは特殊なことではないんですよ。日本でもシングルの女性が精子バンクから精子を買えたらいいのに。 夫でも恋人でもない男性から精子をもらうことについては小説『チルドレン』(『恋は、しばらくお休みです。』泰文堂・所収・絶版)で書きました。古書では手に入るので、興味がある方には読んでみていただきたいです。 ――確かに仕事に追われていると、妊娠は躊躇しますよね。保育所の不足や教育費用の問題もありますし。 髙橋 私も今まではそう思っていたのですが、意外にそうなればなったで、何とかなる気もしています。捕らぬ狸の皮算用の部分もあるのかもしれないなと。 ■最後のセーフティーネットは「人」 ――日本でもシェアハウスやコレクティブハウスなどは広まりつつあるようです。 髙橋 暮らし方の選択肢が増えるのはいいことですよね。独りぼっちに「慣れない」ことが重要だと思います。私も不安はありますが、寂しくはないんです。今は私も両親も健康ですが、将来はどうなるんだろうと思うと怖いんですね。親の介護を東京と地方の遠距離でできるのか、親が亡くなってそのあともずっと独りだったら、と考えると不安しかありません。 ――確かに心配ですね。シェアハウスに住めばすべて解決するわけではないと思いますが、ひとまず周囲が顔見知りで孤立していないというのは安心できますよね。 髙橋 そうなんです。作品でいちばん伝えたかったことは、シェアハウスで一緒に暮らすことは、「哀しみは半分にしてくれて、喜びは2倍にしてくれる。そして未来は独りでいるよりも、ずっと無限の可能性を秘めている」ということです。 これからは「一生フリーター」という方も増えていくでしょうから、家賃をシェアしてコストをかけずに住むことはもっと注目されると思います。やっぱり最後のセーフティーネットは「家」、というか「人」なんだと思います。 (蒼山しのぶ) 髙橋幹子(たかはし・もとこ) 1975年山形県生まれ。地元の農協勤務を経て、東京でOLをしながらシナリオを勉強、第20回フジテレビヤングシナリオ大賞、NHK奈良のドラマ万葉ラブストーリー公募で最優秀賞。現在は『ちびまる子ちゃん』 (フジテレビ)、『おじゃる丸』(Eテレ)などで脚本を担当している。『東野圭吾ミステリーズ さよならコーチ』『天誅 闇の仕置人』(フジテレビ)『だから荒野(第6話)』(NHK)『おとりよせ王子 飯田好実』(メ~テレ)ほか。小説に『恋は、しばらくお休みです。/チルドレン』(泰文堂)など。 『東京シェアストーリー』(全2巻、徳間書店) 脚本家の遠山遥が一軒家を借りて「終の棲家」とし、「38歳以上」「夫・彼氏ナシ」「青春時代に『東京ラブストーリー』にハマった」という条件で集まった4人と暮らしながら、人生を歩んでいく。原作・髙橋幹子、漫画・ただりえこ。 前のページ12 最終更新:2017/02/01 20:08 Amazon 東京シェアストーリー 1 (ゼノンコミックス) 朝起きたときがヤバい…… 関連記事 独身でも孤立しない暮らし方 住人同士が協力して暮らす「コレクティブハウス」の魅力とは?「仕事と育児の両立は無理」シェアハウスが生んだ、20代女性の結婚・育児・老後オシャレな暮らし方「シェアハウスブーム」に隠された「所属なし」という若者の孤独バブルはまだ続いてる! シェアハウスに週末部活、休まない「DRESS」な女たち非正規職アラフォー独身女性の不安とは? 調査から見える厳しい生活の実情 次の記事 保育園経営者に必要(?)な○感 >