カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「nina’s」11月号

「正解を先回り」して安堵する「nina’s」子育ての息苦しさ

2016/10/22 16:00
「nina’s」2016年11月号(祥伝社)

 2カ月に一度のママたちのオシャレ芋煮会、「nina’s」(祥伝社)のお時間です。今号の特集は「子どもが輝くまほうの習慣」。「魔法」じゃなくて「まほう」。ひらがなを多用してほっこり感を押し付ける、「nina’s」の心憎い演出が光ります。さて、特集冒頭の「あの人の子育て習慣」に登場するのは、モデルのSHIHO。「泳ぐのが大好きで、きっと運動が得意だろうなと思って」と、最近4歳の子どもをスイミングスクールに通わせたそう。「ひと月の間何人かの先生に習い、娘自身が一人の先生を選びました」と、教室選びもここまで手間暇かけてます。「あれこれダメとは言わずに、見守って自由にさせるのも大事だなと思ってます」。出産前、子どもの名前を「マネされちゃうから」とギリギリまで公表しない宣言したのも含めて、SHIHOのていねい子育てに河原の芋もほっこり煮上がりましたよ!!

<トピックス>
◎特集 子どもが輝くまほうの習慣
◎ウチの育児習慣合ってますか?
◎キッズスペース アイディアBOOK

■ザッツ「世間に怒られない育児」

 特集内「ウチの育児習慣合ってますか?」を見てみましょう。こちら「理想形を先回り」しがちな「nina’s」の神髄を見るようなページ。読者の「育児習慣」を子育て番組『すくすく子育て』(NHK Eテレ)でおなじみの大日向雅美氏がジャッジするという企画です。

 こういう企画の場合、母親がついついやってしまいがちな思い込みを告白→先生が優しく正す、というのがセオリーだと思いますが、「nina’s」は若干違います。例えば「我が家では毎日お風呂でお話しタイムを作って、いいことニュースと悪いことニュースをお互いに言い合うようにしています」(5才女の子)、「抱き癖がつくという人もいますが、大人だって触れ合って落ち着くこともある。だから泣いたらすぐ抱っこするようにしています」(6カ月男の子)……あまりにも「優等生」すぎて大日向先生も肩透かし。

 だからでしょうか「子どもがした小さなことでもほめたり、ありがとうと伝えるようにしています。ただときどきほめまくっていていいのか!? と不安になることも」(5才男の子)という声に、「“ほめまくる”というのはどうでしょう? ほめて親の思い通りに動かしたいと思っていたら、子どもは見透かすでしょう」と重箱の隅をつつき合う展開に。

 「次男が生まれてから、いろいろ我慢しているはずの長男と寝る前にくすぐりあいっこ(中略)特別なイチャイチャタイムにしています」「朝のお勉強を開始したのですが、目標を高く設定しすぎず、少しがんばればできそうな課題を与えるようにしています」「つい感情的にしかってしまうと子どもが委縮するような気がして、淡々と怒るようにしています」「スーパーやデパートなどでひっくり返ってだだをこねる我が子(中略)でも彼としては何か伝えたくてぐずっているのかな、彼の表現の妨げになっているのかもと思い、最近は私が我慢するようにしています」……育児の正解をあらかじめ先回りして、先生に教え(=正解)を請う。匿名読者でありながら、ここまで意識高めママタレのような意見に終始するのもスゴイです。「いろいろな人の手をかりて、子育てに完璧を求めずに肩の力を抜いて」という大日向氏のメッセージを、「nina’s」ママたちはどのような気持ちで受け取るのでしょうか。

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