夫の浮気相手への慰謝料請求中、妻の不貞も発覚――ドロ沼と化した“婚外恋愛”の落とし前
家庭を持っている女性が、家庭の外で恋愛を楽しむ――いわゆる“婚外恋愛”。その渦中にいる女性たちは、なぜか絶対に“不倫”という言葉を使わない。どちらの呼び名にも大差はない。パートナーがいるのにほかの男とセックスする、それを仰々しく “婚外恋愛”と言わなくても、別に“不倫”でいいんじゃない? しかしそこには、相手との間柄をどうしても“恋愛”だと思いたい、彼女たちの強い願望があるのだろう。
これまで婚外恋愛の取材をしてきたが、どのエピソードにも、あまり“修羅場”というものを感じたことがなかった。恐らく、現実的には修羅場だったのだろうが、当事者である彼女たちがあまりにも淡々と話すものだから、筆者もつい彼女たちに同調してしまうのだ。しかし今回話を聞かせていただいた京子さん(仮名)の話には驚いた。
「私は、旦那の不倫相手に対して200万円慰謝料をもらったし、私の彼も、旦那に300万円の慰謝料を払いました」
夫婦双方の不倫の結末として、 それぞれの相手が“慰謝料”を払ったという。その現実的な金額を聞いた瞬間、筆者が抱いていた“婚外恋愛”というフワフワと実態のない恋愛の形が、一気に現実味を帯び、身震いした。
■夫の浮気相手は「誰とでも寝る女」
40代半ばの京子さんは、現在は独身。20代の頃に、いわゆる“授かり婚”し、その後もう1人子どもをもうけ、それぞれすでに独立している。ご主人は、第一子が生まれてから間もなく、すでに方々で浮気をしていたという。
「隠すのがヘタなんですよね、浮気ではなく本気になってしまうから……セックスだけではなくて、心まで持って行かれてしまう。だからすぐに気付きました」
それから10年、ご主人の浮気癖は続いた。近隣に住む姑の耳にも、ご主人のウワサは入るようになったが、あるときその姑にとんでもないことを言われたという。
「『息子が浮気をするのはあなたが至らないからじゃ?』と。確かに姑にとっては、ある日突然、『子どもを授かったから』という理由で、愛する息子と引き離されたわけですから、私を嫌うのは当然かもしれませんけれど……ずっと『ダメ嫁』だと言われ続けてきました」
ご主人の浮気癖、思春期の子どもたちへの葛藤、姑との確執……さまざまな問題が重なり、現実から逃避するように、京子さんは婚外恋愛を始める。しかし、ネットで婚外恋愛相手を探して付き合うも、どの人ともあまり長続きはしない。そんな中、ある1人の男性とは、長く交際を続けられたという。そして彼こそが、その後ご主人との修羅場へと発展するきっかけとなった人物であった。
「とてもウマが合う人でしたね。交際期間も長かったので、私も『バレないだろうな』と安心していた部分もあったのでしょうけれど……」
度重なるご主人の浮気をやり過ごし、実際に夫婦で「タイミングが来たら離婚しよう」と話し合っていたという。その時期が来たのが、今から4年ほど前である。
「私の知り合いと浮気していたんです。その女性は『誰とでも寝る』と近所で非常に評判の悪い女性で……悪名の高い女と浮気した旦那に対して、嫌気が差したんですよね。この浮気だけは許せない、と」
ところが、相手の女性に対して慰謝料を請求している最中、今度は京子さんがご主人に興信所をつけられてしまう。結局、ご主人の浮気相手は京子さんに、京子さんの婚外恋愛相手は京子さんのご主人に、それぞれ慰謝料を支払うことになった。「結構な額でしたね……ドロ沼でしたよ」と語る京子さんの表情から、当時の壮絶な修羅場を察することができた。