サイゾーウーマンカルチャーインタビュー若者の文化を吸収しないと老いるだけ カルチャー 作家・志茂田景樹さんインタビュー 「若者の文化を吸収しないとただ老いていくだけ」志茂田景樹が語る、自由な発想で生きる秘訣 2016/09/14 15:00 インタビューりゅうちぇる志茂田景樹 ――昔の若者と、現代の若者とでは、悩みの種類は違ってきているのでしょうか? 志茂田 基本的には変わりません。今も昔も、恋愛や病気の悩みが多いですね。でも、病気の悩みで圧倒的に違う点は、僕らの若い頃は結核や治療しても治らない病気の悩みが多かったんですが、今は圧倒的に心のリズムを崩してしまったという悩みが多いです。 あとは、家族関係や、親との折り合いの悩み。20代後半で結婚している人は、義父や義母との折り合いを相談してきますね。「義母との折り合いが悪くて、困っているんですよ」と言ってくるので、同居しているのかと思いきや、同居はしておらず、義母から電話でガツンと言われて、「もうこんな義母とは、やっていけない」と言っているんです。昔は義父や義母と2世代、3世代と同居して、本来他人だった人たちと暮らしていたわけで、その中で義父や義母との仲に悩んでいた人もいます。しかし、義父や義母に嫌みを言われようが、平気で家に帰ってきていました。核家族で育った子は、家族関係に打たれ弱いんです。 友人同士の関係も、昔とは違います。僕らの若い頃は、友人とケンカをした際、仲介して仲直りをさせてくれる人がいました。でも、今の若い人たちは、波風が立たない友人関係です。「俺も出過ぎないからお前も出過ぎるなよ」と、暗黙の了解があり、和気あいあいとしていて、よっぽど突っ張っている人でないと、殴り合いのケンカなんてしません。昔の若者は、ツッパリでなくても、居酒屋で飲んでいて口論になると「表出ろ!」と、よくケンカをしたものです。あまりケンカをしない現代の若者は、平穏でいいようですが、これからを担う人たちなのだから、もう少しヤンチャをしてもいいのではないかなと思うこともありますね。 ■勇気を持って、もっと自分を出していってほしい ――志茂田さんは、絵本の読み聞かせを20年以上続けておられますが、読み聞かせを始めたきっかけや、続けている理由を教えてください。 志茂田 1996年に小さな出版社を立ち上げたので、全国各地の書店でサイン会を始めたんです。ちなみに、まだその頃は、絵本や児童書は出していません。当時、サイン会をしていた書店はショッピングモールに入っていることが多く、サイン会中、僕の本とは関係なさそうな、子どもを連れたお母さんなどの野次馬が集まってくるんですね。そして、野次馬たちは数分単位で入れ替わっていきます。 ある日、福岡の岩田屋というショッピングモールに入っている書店のリブロでサイン会をしたのですが、そこのフロアは半分がリブロ、半分が玩具売り場で、玩具売り場の方には子どもたちがたくさんいました。こんなに子どもたちがいるならば、読み聞かせをしようと思ったのが、始めたきっかけです。実際に読み聞かせをやってみると、子どもたちだけでなく、大人たちまで物語の世界に入り込んできて、それをやった僕自身も爽快な気持ちになりました。続けていくうちに、読み聞かせをすることで、子どもたちが活字の世界に興味を持ってくれるのではないかという思いも生まれてきました。 ――志茂田さんが、若い世代に伝えていきたいこととは何でしょうか? 志茂田 先ほど、最近の若者は波風を立てない友人関係を好む傾向にあると言いましたが、若い人たちは、もう少し自分を出していいのではないかと思います。ファッションでもいいし、自分が向いていると思うことでもいいので、もっとそれに打ち込む。今の若い人たちは、何事も結構うまくこなせるのですが、自分が特にやりたいことをもっと強くやると、周りに不協和音を立てずに、自分を出していくことができるんじゃないかなと思います。勇気をもって、自分を出していくことが大事です。 昔だと、友人5~6人で自主映画を作ろうということになったら「俺が監督をやる」「いや、俺が監督だ」って、やりたいことの取り合いになっていたのですが、今の人は、それぞれがどの役割に向いているか把握していて、ぱっぱっと、なんでもすぐに決められます。ある程度、和をうまく保つことができる世代です。自分に向いている事柄の中ならば遠慮はいらないので、もっと自分を出していけるのではないかと思います。それぞれが得意分野をつなぎあわせて自分を出していくと、仲間との絆も強くなり、大きなプロジェクトが生まれると思いますよ。 (姫野ケイ) 志茂田景樹(しもだ・かげき) 1940年、静岡県生まれ。中央大学法学部卒。さまざまな職を経て1980年、『黄色い牙』で直木賞受賞。多彩な作品を発表する傍ら「よい子に読み聞かせ隊」を結成、2014年日本絵本賞読者賞受賞。多ジャンルで活躍し、読み聞かせ&講演の開催数は1800回を超える。Twitter 前のページ12 最終更新:2016/09/14 15:00 Amazon 天国ポスト〜もう会えないあの人に想いを届けます。 (TWJ books) 老いが怖くなくなりそう 関連記事 志茂田景樹の金庫に6,000円は正しい!? タンス貯金を守る、奥の手とは……山田優・母が5万円でレッスン開催、りゅうちぇるCM料は1200万円! 芸能界の金回りりゅうちぇる、番組数113本に大急増! 『さんま御殿』『行列』ら出演番組の視聴率は?角田光代と光浦靖子が見つめる「体の変化」――女の老いと更年期を愉快に語る!介護のキーワードは「しのぎ」? 50代男性が語る、年老いた母親を見守る生活 次の記事 『せいせい』武井咲の指毛にあ然 >