「BAILA」“ドS美容師”のイメチェン企画が、どことなく滑ってしまった理由
■家事ができない女は「婿を取れ」?
次にご紹介したいのは、悩める読者からの投稿を長塚圭史さんが真面目(?)にアドバイスしてくれる連載「愛の処方箋」。
今月は、一応彼氏はいるけれど、実家暮らしで家事ができない32歳女性からのお悩みが紹介されており、その内容は「だらだら生きてます」「これって大人の女としてやっぱりダメですよね」というもの。
「ダメですよね」とは、喝を入れてほしいのか開き直っているのか、イマイチわからない聞き方です。まるで10代の恋愛相談みたいな要領を得ないお悩み……と筆者は心の中で毒づいてしまいましたが、長塚さんはちゃんと解決策を教えています。
要約すると「婿をとって家事は母、子育ては旦那、自分はバリバリ働いて家族を養う」「うまくいけば、子どもたちも家事を手伝ってくれて、そうしたら自分は死ぬまで家事をやらなくても済む」とのこと。一度も家事をしたことのない母の子どもが、果たして家事をするかは怪しいところですが、最終的に長塚さんは「それが面倒ならとりあえず家を出てみては」と言っているので、まぁ6割方冗談なのでしょう。
ただ、読んでいてふと思ったのですが、家事ができないというお悩みであれば、別にお婿さんを取る必要も、家事をしてくれる人を養うために働く必要もないのでは? いえ、結婚願望がある、子どもがほしいというのなら話は別ですが、相談者からはそういった言葉はないし、であれば、わざわざ早急に婿入り&主夫になってくれる新しい彼を見つけるより、いっそ、お手伝いさんを雇えばいいだけな気がしました。というか、今親が家事をしてるならその必要もないような。長塚さんは、女が家事をすべきとは限らないと、新しい回答を述べたつもりかもしれませんが、結局「家事は家の者がやらなければいけない」という、意識からは脱せていないのではないでしょうか。
とにかく秋に向けて「変えたい!」「変わりたい!」という気持ちを前面に押し出してきた今号の「BAILA」。正直、イメチェンを意気込むあまり空振りに終わる気配がひしひしと伝わってきます。最後のサマーセールも始まるこの時期、どうか最後まで冷静でいさせてほしいと願わんばかりです。
(ルイーズ真梨子)