「BAILA」“ドS美容師”のイメチェン企画が、どことなく滑ってしまった理由
表紙の竹下玲奈が、どこか虚ろな顔で微笑んでいる「BAILA」9月号(集英社)。オフホワイトの上下が夏の名残を感じさせますが、内容は今月から一気に秋へシフト。読者が季節の節目を意識しやすい時期だからか、クローゼットの中身はもちろん、メイクや小物など「この機に思い切って変えみる」という趣旨の企画が目立ちました。そんな今月号は、20ページの別冊付録「100人の100眉事情」つき。内容もさることながら、アオリの「一生イマイチの眉で生きていくつもり?」というフレーズが、読者にプレッシャーを与えます……。
<トピックス>
・アクセ・靴・リップで小さい秋、始めます!
・その髪ドS美容師にゆだねてみれば?
・酔いどれ三文文士に聞け! 愛の処方箋
■ドSじゃなくても、美容院変えればいい話
「BAILA」のイメチェン企画は、小物や洋服にとどまりません。今号の「転ばぬ先の30歳美容」には、マンネリ化した髪型を一新するための企画「その髪ドS美容師にゆだねてみれば?」がありました。“ドS美容師”たちが、ヘアスタイルのお悩みについてアドバイスをするという企画ですが、もうタイトルから、すでに居たたまれないほど気恥ずかしさを覚えるのは筆者だけでしょうか? 思わずティーン向けの少女コミックを連想してしまいます。正直アラサーにもなると、女心をそそる“ドS”が現実世界にいないことを知っていますし、であれば、落ち着いた安定感のある年上や、素直で可愛げのある年下に癒やされたいと思うことの方が多い気も。
読者から寄せられた悩みには、確かに美容師に対する「(自身のヘアスタイルについて)はっきり言って欲しい」「本音をぶつけて」といった要望が並びますが、だからと言って、その美容師がドSである必要はまったく感じません。
例えば、匿名希望Bさんの「“似合ってる”とか“素敵だね”といってくれない(中略)本当はもっと私に似合う髪型があるのに、隠したりしてるからじゃないよね?」という悩みですが……本当にそうなら、真のドS美容師は間違いなくそいつですよ! ほかにも、匿名希望Cさんのお悩み「もうずっと髪型がぱっとしないのは私(読者)に嫌われるのが嫌で本音が言えないからじゃないのか」などは、単に美容師の腕の問題でしょう。
そして実際のところ、美容師に“ドS”な対応など不必要と明らかになったのが、ドS美容師たちの台詞。「よし!!俺らが似合う髪型を言ってやるよ!」などとふきだしをつけられていますが、別にドSでもなんでもない、普通の美容師でも意気込みそうなことでは……と笑いを誘います。その後も随所に「顔立ちが美人」「キレイな顔」など、近所の美容院でだって、そんな褒められたことない! といったドSらしからぬフレーズが盛りだくさんなんです。ドSどころか普通、いや、かなり接客サービスがいい部類に入る美容師さんですよ! 素人が安易に“ドS”に手を出しても、上っ滑りするだけなのかもしれませんね。
そんな筆者のツッコミをフォローするかのように、ページの隅についた“ドSヘア喝券”(誌面で紹介された美容師にカット予約できる券。クーポンではない)には、「※ドSの感性は人それぞれです」と書いてあるのでした……。