【連載】美容整形Dr.高須幹弥に訊く!

「生え際を切開して掻き出した」美容整形Dr.高須幹弥が、プチ整形被害と注意点を明かす!

2016/09/05 21:00

■プチ整形でトラブルに見舞われないために
 壊死以外では、「アクアミド」によるプチ整形トラブルも多いです。アクアミドもフィラーなのですが、体内に吸収されず「効果が永久に持続する注入剤」です。そのため、失敗した場合は手術で掻きだして除去するしかありません。私が施術した中で最も大掛かりだった修正手術は、額に大量のアクアミドを注入してボコボコになり、重みで目も開かなくなってしまった女性。額の生え際に沿って皮膚を切開し、剥がしたところから可能な限りのアクアミドを掻き出しました。

 アクアミドやレディエッセのように、溶解剤がないものや永久に残るものは、今の顔に合わせて打って一時的によくなったとしても、年を取って顔つきや肉付きが変わったときに、そこだけボコッと不自然になったり変形したりする可能性があります。失敗したら修正手術を受けなければ戻らないし、手術自体も大変なことが多いので、“永久的”や“安価”に踊らされないようにしてほしいですね。なお、アクアミドは一部では発がん性があるとも言われているので、美容外科学会では使わない方がいいという指針になっているんですよ。安全面や万一失敗したときのことを考えても、ヒアルロン酸やボトックスが一番安心です。

 ちなみにボトックスも溶解剤はありませんが、半年ほどで効果が切れるので、失敗しても待てばだいたいは元に戻ります。まぁ、よくある「シワ取りで額にボトックスを入れたら眉が下がって目が開けにくくなった」という場合も、効果が切れるのを待つしかないのですが……。

 近年プチ整形は身近なものになりましたが、将来のことや体への影響も考えて選ぶようにしてください。カウンセリングでしっかりと説明を受け、使用する成分などについてもきちんと聞いておきましょう。また、新しい医療材料も注意が必要です。メーカーが安全性を謳っていても、発がん性が見つかったりしこりが残ったりと、数十年たってから問題が起こることもあり得ます。本当の安全は、20~30年と経過を追って問題がなかったときに初めて確立されるもの。「新しい医療材料をすぐ導入するクリニックかどうか」も、判断材料の1つと考えてくださいね。

高須幹弥(たかす・みきや)
美容外科「高須クリニック」名古屋院・院長。オールマイティーに美容外科治療を担当し、全国から患者が集まる。美容整形について真摯につづられたブログが好評。
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最終更新:2016/09/05 21:00
『ワセリンHG』
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