コラム
連載[“生涯独身”四十路女の姪っ子育て]

「1歳の姪っ子を引き取る」四十路パート暮らし時給820円、“生涯独身女”の決断です

2016/08/24 21:00

姪です

 初めまして、ちかこと申します。

 平々凡々な四十路女です。サバンナで食うか食われるかのような環境で生き抜いてきた激動の人生を送ってきたというわけではなく、どちらかというと柵の中で飼われている羊のような人生でした。自己紹介をさせていただきます。

 社会人になって初めて勤めた会社が倒産、28歳の夏でした 宵越しの金は持たないという言葉が好きだった私。ようは浪費家だった私は、貯金をほとんどしていなかったので困り果てました。

 職もお金も住んでいる家も一気に失い、頼れる親族などはおりません。身の回りの物を換金してわずかなお金を持ち、これからどうするかと思案しました。とりあえず、屋根がある所で眠りたい。ドヤ街なら安く泊まれると聞いていたので、宿を求めて電車に乗りました。簡易宿泊所にたどり着き、手続きを済ませ部屋に入った私は、人生を振り返りながら壁のシミを数えていたのを今でも思い出します。25個ジャストでした。

 今思えば、人生なんとかなるだろうという根拠のない思い込みが私を支えていたのでしょう。布団はとても汚れていました。ドヤ街に住んでいる人たちは怖いというわけでもなく、さりとて特別人情にあふれているというわけもなく、抜け目なく人間臭くいい意味で拍子抜けしたのを覚えています。

 住めば都といいます。1カ月住んで、どう考えてもここは都ではないなと感じていましたが、さりとてそこまで悪いところじゃない。客観的に見れば日本でワーストに入るような場所なのだろうけど肌に合うといいますか、精神的には安らぎを覚えたくらいです。

 ここで一生暮らしてもいいかなと思い始めましたが、学生時代の友人と連絡をとった際、ありのままを話し、それならうちにおいでよといわれ、ドヤ生活は2カ月程度で終わりを告げました。立ち小便に遭遇してもすでに驚かなくなっていましたが、「姉さんも一緒にするかい」と言われた時は丁重に断りました。無理だっての。

 その後、頼れる友人のおかげでなんとか自立をして再就職することができました。そこからいくつか職を転々としましたが、大学事務が一番楽でした。暇な時間は資格の勉強なり読書をしていいといわれていたので、思う存分本を読んでいました。いきなりお金も職も住む家もなくなった時のつらさは身に染みてわかっていたので、職のない空白期間も日頃からの節約生活の末できた貯金でなんとか食いつなぐことができました。

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