「曜日ごとでメイクを変える」トンデモ提案が刺激する、自分を持て余す「BAILA」世代の欲望
■ベージュ、摩訶不思議色
続きましての分析企画は、「透けない&響かない 最強“夏下着”はこれだ!」です。「白トップスでも透けない(ブラジャーの)色はどれ?」「透けない&響かないをかなえるにはどのショーツがいい?」など、サングラスに引き続き、地味だけど実用的で「欲しかったです!!」といえる企画ではないでしょうか。筆者も、早速わくわくしながらページをめくります。
すると……まず最初に衝撃を受けたのは「白トップスでも透けない(ブラジャーの)色はどれ?」編でエントリーされているブラジャーの色。全9色中「モカベージュ」「ヌーディ―ベージュ」「淡ベージュ」と1/3をベージュ一派が陣取ります。確かに、アラサーともなれば、そろそろベージュの下着に手が伸びるお年頃なのかもしれませんが、「まだまだベージュは先♪」と甘く考えていたアラサー筆者としては、心にざわざわが宿ります。しかも、ベージュにもこんなに種類があったなんて。
続いて残りのエントリーカラーを見ていくと「パープル」「オレンジ」「赤」と、これはこれで、「ファッションは堅実派」なバイラーズは、敬遠しがちな派手色が続きます。普通、こんな派手色のブラをしておいて、「透けたくない!!」とか言われた日には、「え、なんなの?」とツッコミたくなってしまいますが……。最後に、「白」「グレー」「モーブ」という可もなく不可もないけど、実際にはあんまり売っているところを見たことがないようなカラーがエントリーされ全9色。
この9色で、どの色が透けないかを検証するわけですが……え、ちょっと待って!! 筆者がワコールのHPで調べたところ、ブラの所有率で一番多い色は「1位ピンク…31%」、そして「ベージュ…22%」「ブラック…21%」と続きます。「BAILA」の読者層とは微妙に異なるかもしれませんが、ピンクとブラックという併せて過半数越えの民意を無視するってどうなの!?
とはいえこの企画、ベージュ3種の中でも淡ベージュはがっつり透けたり、モカベージュはまったく透けなかったことが発覚したりして、「ただベージュを買えばよいってもんじゃないんだな」とベージュという色の奥深さを感じることができたほか、赤は意外に透けなかったりといったさまざまな発見も。ちなみに9色中一番透ける色は「オレンジ」だそう。筆者としては、特に購入したいと思わない色でしたが、そろそろ年齢的にもド派手色は厳しい時期ですし、逆に1回くらいチャレンジしてみてもよいかもしれない……という、まったく関係ない購買意欲が刺激されました。
■曜日ごとで顔が違う女
そして最後に衝撃を受けたのはこの企画が「“いいことあった?な顔”になるエブリデイ・ベストコスメ」。中身を要約すると「曜日別にベストなコスメを選びました」という内容です。ずぼらな筆者は「毎日同じコスメ使うだけでも、場所は取るし、お金はかかるし、手入れも面倒なのに、曜日ごとにコスメ変えるなんて正気か?」と思ってしまいます。細かく見ると、一つひとつの品はコンビニ等で買えるプチプラコスメが中心のようですが、それがフル装備となれば話は別、ましてや1アイテム2・3種類も揃えるなんて……ボーナスをドラッグストアで使い果たすつもり?
そもそも、曜日ごとにコスメを紹介されても、「じゃあ私は水曜日で揃えよう♪」なんてことにもならないですし、ものすごく丁寧に10ページも誌面を割かれても……正直困惑する読者も少なくないのでは。特に、日曜日のページに、突如「日曜日にしたためる自己調律コスメ句会」という謎の俳句コーナーがあり、「よっぽど書くことがなかったんだな」としか思えませんでした。
ということで今月号、突如「検証企画」に走った「BAILA」。実用的だし、読み応えがたっぷりでファッション誌としては非常に興味深かったのですが、やはり「BAILA」の真骨頂は「曜日別コスメ」だの「TPPO」「週4ブランド」といった“謎カテゴライズ”なのかもしれません。金銭的に余裕ができたものの、加齢が気になりだしたアラサー女子の「なんでもいいから、金と労力をかけたい」という欲望を刺激しそうとも考えられるこの「曜日別コスメ」という概念。今後、どのくらい続いていくのか、今からとっても楽しみです。
(ルイーズ真梨子)