最年少の億万長者、“補正下着の女王”に降って湧いた「パクリ疑惑」 【醜聞!世界の女大富豪】
「スパンクス」公式サイトより
◎世界最年少の億万長者へ
なけなしの5,000ドル(約53万円)を軍資金に会社「スパンクス」を設立。2000年、29歳のときだった。「スパンクス」の知名度をどうにか高めようと、サラは試供品を送付する。相手はテレビ番組『オプラ・ウィンフリー・ショー』でカリスマ的な人気を誇り、オバマ大統領の支持者としても知られる黒人女性、オプラ・ウィンフリーだった。彼女がその着心地の良さを周囲のセレブに広めたことで「スパンクス」はブレークした。一気に火がついたのだ。
いまや「スパンクス」はアメリカ女性が誰しも1枚は持っているといわれるほどに普及。世界でも60か国、1万1,000以上の店舗に、およそ200種の製品を卸している。日本へも11年に進出し、幅広い支持を得ている(15年に撤退)。サラのアイデアは画期的だったのだ。
12年、「フォーブス」誌はサラを「女性起業家の中で世界最年少のビリオネア(億万長者)」と認定。続いて14年には、同誌が「世界で最もパワフルな女性」の1人として選出した。ディズニーワールドのアルバイトが、大富豪になったのだ。
◎成金趣味の結婚生活、会社は「パクリ訴訟」に
しかし急激な成長はときに人々の嫉妬を買い「成金」と揶揄される。彼女の結婚もそんな悪意を喚起した。お相手は世界最大のプライベートジェット会社を経営するジェシー・イッツラー氏。これまた大富豪である。08年に2人は、ド派手な結婚式を挙行する。ハリウッド俳優マット・デイモンらが参列し、さらに歌手のオリビア・ニュートン=ジョンのサプライズショーまで飛び出すほどで、「少々品がないのでは」と囁く声もあったという。
成功の証しは、リッチな夫と、豪邸だ。夫婦は880万ドル(約9億3000万円)の大邸宅を故郷フロリダにおっ建てた。美しいビーチに面し、敷地面積1万平米という広大さだ。スパやサウナも完備。ロビーには超巨大ガムボールマシンが設置されているという謎のセンスで、これも成金趣味ではないのかと妬みの対象となった。
加えて13年以降、ライバル社との紛争を抱える。やはり女性用下着メーカー「ヤミー・タミー(Yummie Tummie)」が「スパンクス」に対し、タンクトップのデザインをパクられたと訴え出たのだ。「ヤミー・タミー」もまた、パワフルな女性創業者ヘイザー・トムソンが率いる一代目の企業。女性創業者同士、しかも下着屋同士のバトルだと、米ゴシップ界は沸き立った。
「ヤミー・タミー」はサラに対し、著作権の侵害を糾弾する手紙を送付。これをネット上でも公開した。さらに#shameonyouspanx(スパンクよ、恥を知れ)というハッシュタグをTwitterで拡散。14年には裁判所により和解案が提示されたが、両者の対立はくすぶり続けている。
女一代、下着一枚で巨万の財を築いたサラ。まだまだ波乱万丈だ。
(室橋裕和)