世界1位の女性起業家・周群飛、極貧から上りつめた「男と金」【醜聞!世界の女性大富豪】
■「政略結婚」「産業スパイ」の批判
そして群飛は93年、親族と協力して、2万香港ドル(約27万円)の資金を元手に会社を設立。アルバイト先だった会社から、ガラススクリーンに印刷する仕事を受注し、少しずつ信頼と資金を得ていく。
飛躍したのは結婚がきっかけだ。マカオの大手メーカー「伯恩光学(Biel Crystal)」の社長と、94年に結婚。互いに協力しあい、会社を急成長させていく。同業種の経営者同士が恋に落ち、冒頭のようなやりとりが交わされたのでは、と言われているが……。
「実際はオンナを武器にした政略的な結婚だったのではないか」
そんなウワサが絶えない。というのも、その後に群飛は離婚し、伯恩光学が業績を伸ばす原動力だった携帯電話のスクリーン生産を、大々的に始めたからだ。
「技術と顧客と奪っていった産業スパイ」
そんな汚名を着せられながらも、藍思科技は携帯電話・スマートフォンの世界的、爆発的な需要の波に乗った。
群飛は08年、自社の運転手だった男性と再婚。これは熱愛だったといわれている。そして15年、藍思科技は香港市場に上場。貧民の子はついに、「forbes」も注目する女性大富豪となった。
称賛の一方で、会社の持ち株の99%を夫婦で(とりわけ群飛が97%を)所有していることを、守銭奴のようだと批判する声もあった。しかし、その栄華も長くは続かない。
■男に猛追され業績に陰り?
中国経済の不調に伴って株価が急落、藍思科技の資産価値はおよそ5000億円も減少した。「forbes」がリアルタイム更新している「今日の大富豪」では、株価の降下を示す赤い矢印が毎日のように踊る。
取引先をアップル社に依存していたことも痛かった。iPhoneを膨大に売り上げていた中国で、販売が鈍ってきたのだ。当然、カバーレンズの生産は頭打ちだ。とどめとばかりに、過去の「火遊び」が祟る。かつて捨てた男の会社・伯恩光学が、藍思科技への復讐とばかりにターゲットとして猛追。スマホ・携帯電話のガラスやカバーレンズの分野では、シェアを食い合う強力なライバルとなってきたのだ。
四面楚歌の群飛・藍思科技。しかし彼女は極貧から成り上がってきた類まれなバイタリティの持ち主だ。このままでは終わらないだろう。
(室橋裕和)