悪名高い大富豪が、大金でクリス・ブラウンvsドレイクの“試合”を提案！

　6月14日にHipHop界の小悪魔・リアーナをめぐり、クラブで乱闘騒ぎを起こしたクリス・ブラウンとドレイク。睨み合いの状態が続いている彼らのビーフ（争い）関連ニュースは、連日のようにメディアを賑わせており、鎮静化しそうにない。そんな中、クレイジーな富豪として名高い男性が「2人に100万ドル（約8,000万円）ずつあげるから、ボクシングで決着をつけろ」とハチャメチャな提案をし、世間の注目を集めている。

　リアーナに振り向いてもらえないドレイクが、ミーク・ミルと共にクリスにケンカをふっかけたのがきっかけで乱闘に発展したとされている、今回のクリス対ドレイクのビーフ。この2人の争いを、1ラウンド1分、3ラウンド制のボクシングで決着をつけろと提案しているのは、世界的大富豪のアルキ・デヴィッドである。

　アルキは、双方に100万ドルをファイティングマネーとして支払い、試合終了後にはもう100万ドルをチャリティー団体に寄付するとの声明を発表。ボクシング・プロモーターのデイモン・フェルドマンも絡んでおり、米紙「New York Daily News」の取材に対して、「ロサンゼルスかラスベガスで8月25日にあたりに開催できればと考えている」とコメント。実現したら、試合はPPV（番組ごとに課金される有料放送）でライブ中継することも明かした。

　その昔、あまりの趣味の悪さにワンシーズンで放送打ち切りとなった、落ち目のセレブをリングに上がらせ戦わせるというリアリティ番組『Celebrity Boxing』を彷彿とさせるような提案だが、いかにもアルキらしいという声が上がっている。

　今年44歳になるアルキは、世界的に大成功を収めた海運業や瓶製造業などの家業を引き継いだ大富豪。推定資産は11億ポンド（約1,400億円）で、英紙「The Sunday Times」が発表した富豪リストで45位にランクインしている。

　何不自由なく育った彼は、興味が湧いたことはとりあえずやってみるという性格らしく、若い頃は、イギリス陸軍に志願兵として入隊したり、コカ・コーラの研究所で働いたり、養魚場で働いたり、広告セールスマンやラジオのDJとしても働いた経験を持つ。水上スキー・インストラクターやPADIスキューバダイビング・インストラクターの免許も持っているスポーツマンでもある。

　複数の会社を持ち、チャリティー団体も立ち上げているアルキだが、現在はメディア会社フル・オン・エンターテインメントに重点を置き活動している。インターネットにも進出しており、彼が立ち上げた、世界最大のインターネットHDテレビ「FilmOn.com」は、08年の初年度に700万ポンド（約8億5,000万円）もの利益を上げ、注目を集めた。

　金に困ることなく、趣味のように仕事をしているアルキは、紳士的で穏やかな人物のように見える。だが、金に物を言わせてハチャメチャなことをやる男としても知られており、一部ではトラブルメーカーと批判されている。

　彼は、「battlecam.com」という動画投稿サイトも運営しているのだが、このサイトの宣伝目的で、10年10月に「オバマ大統領の前で裸になった勇気ある人に100万ドルを贈る」と発表。賞金目当てに、体にサイト名を大きく書いた全裸男が、同月13日にフィラデルフィアで行われた大統領の演説中に乱入し、逮捕されるという事件が起こった。「battlecam.com！」と叫びながら走りまくった男は「生活費のためにやった」と言い、アルキは「金のためならなんでもするという人々には、本当に驚かされる」とコメント。金持ちの趣味の悪い道楽だと批判された。

　しかし、彼は懲りることなく、昨年7月に、「battlecam.comで、脳腫瘍で末期状態にある62歳のロシア人男性をスイスのクリニックで安楽死させる様子をライブ中継する。世界初の安楽死中継だ」と発表。注目を集めたのだが、こちらもサイト宣伝の芝居だったため、大ひんしゅくを買った。

　全米が注目するクリスとドレイクのビーフを、「ボクシングで決着しろ」と驚きの提案をしたアルキ。クレイジーだという声が多いが、「この試合が実現したら、確実に歴史に残る一大マッチになるだろう」「大金が稼げるに違いない、素晴らしい案だ」という声も上がっている。また、一方で、大富豪らしいルールを無視した行動で知られるアルキだけに、実現の暁には、きっとまた何か妙なことをしでかすに違いないともみられている。

　血の気の多いクリスが乗り気になる姿は想像できるが、意外と気が弱いとされるドレイクが、果たしてこの話に乗ってくるだろうか。プロモーターのデイモンは「ぜひリアーナにリングガールを務めてもらいたいね」と夢を膨らませているが、そうなったらハリウッド映画を越えるドラマが生まれそうである。