美容・健康
ウォブクリニック中目黒・高瀬聡子院長インタビュー

そのシミ、実は「肝斑」かも……!? “美肌のプロ”皮膚科医に聞く、正しい知識と治療法

2016/06/22 21:00

■肝斑の原因を完全に取り除くことは不可能

――クリニックでは、どのような治療を行うのですか?

高瀬 一般皮膚科の場合だと、ビタミンCやビタミンE、トラネキサム酸といった内服薬と、コウジ酸、ハイドロキノンの美白成分の入った外用薬が処方されることが多いです。

 美容皮膚科の場合は、これらの内服薬と外用薬以外に、最初のステップとしてはケミカルピーリングといった角質ケアを行います。その次にビタミンCやトラネキサム酸をイオン化して肌に導入する、イオン導入という流れが一般的で、これは肌に良い成分を高い浸透度で導入していくという治療です。

 さらにここ数年で、肝斑に有効な治療法として、新たに「レーザートーニング」というものが出てきました。これはレーザーを使って皮膚の表面部分の薄いメラニンを反応させ、排出を促すものです。以前はレーザーを使用すると肝斑が悪化すると思われていて、薬の処方とケミカルピーリングやイオン導入で長期的にケアしていくことしかできなかったのですが、レーザーの効果が認められたので、以前よりも比較的治りが速くなったといわれています。

 レーザーというと不安に思う方もいると思いますが、痛みは砂利が当たるようなイメージの軽いもので、治療後も、ほんのり赤くなる程度です。すぐに化粧もできるので日常生活に差し障りはなく、働きながら、周りの人に気づかれることなく治療が可能です。

――治療をすれば、肝斑は完治するものでしょうか? また肝斑を予防、あるいは悪化させないためには、どんなことに気をつければよいでしょうか?

高瀬 肝斑の原因を完全に取り除くことは不可能です。ただ、肝斑は「墓場には持っていかないシミ」ということができ、閉経して女性ホルモンの影響が収まる70~80代になると、炎症が起きなくなります。シミのもとになるメラニンは、そのもとになる炎症が起きなければどんどん排出されていくので、症状としても薄くなっていきます。反対に、女性ホルモンの影響が強く出てメラニンのもとになるものの生成が過多になる30~40代では、どんどん症状が濃くなってしまうのです。

 完治はしないので、治療も、肌に表れる症状を軽くするという目的で行っていきます。その人の肝斑の濃さや、生活スタイル、紫外線をどれくらい浴びるか、微小炎症の程度などが影響するので個人差はありますが、週に1回のレーザートーニングを最低でも10回やっていただければ、目に見えて効果の実感はあると思います。

 ある程度症状が薄くなった方には、メンテナンスという形で月に1回程度のレーザートーニングをオススメしていて、それによって肝斑の目立たないお肌が維持できます。

 肝斑の場合、その主な原因である女性ホルモンの影響を抑えることは難しいので、その他の原因を予防することが大切です。微小炎症の予防には、洗顔、スキンケア、マッサージ含めて、肌をこすらないことが大きなポイントにもなりますし、原因の1つでもある紫外線の予防には、外出する際にUVケアをするものを塗って紫外線をブロックすること、日差しが強いところに長時間いないということが効果的だといえます。
(田村はるか)

高瀬聡子(たかせ・あきこ)
1994年慈恵会医科大学卒業。同附属病院本院にて臨床研修を終了し、附属病院皮膚科に入局。以降、皮膚科診療に従事する。2007年ウォブクリニックを開設。同クリニックの総院長を務める傍ら、美白スキンケアのドクターズコスメを扱うブランド「アンプルール」の開発ディレクターとして研究開発を行っている。
ウォブクリニック中目黒

最終更新:2016/06/22 21:00
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