コラム
【連載】夫の不倫相手を訴えた! 実録「慰謝料請求裁判」体験記19

「うちの夫、浮気してるかもしれない」の勘は当たっている 不倫を泥沼化させないためには?

2016/05/26 15:00

■「うちの夫に限って」と放っておくと、とんでもないことになる

 しかし、こうして、夫婦の間で事件を“封印”したところで、周囲はまた別です。うわさというものは、自然と人づてに伝わっていくらしく、冗談のつもりか、「あいつ、一度浮気がバレたくらいで懲りるかな(笑)」と軽々しく笑っていた友人もいましたし、「浮気されたのって、自分にも責任があると思わない?」なんて、わたしに向かって言ってのけた人もいました。周りは、わたしが、夫が、夫の愛人が、どれだけの目に遭ったのかを知らないのだから、仕方ないことでしょう。

 もっとも、わたしは「浮気されたこと」の責任はないと思っていますが、「浮気を長引かせてしまったこと」の責任は感じています。「男友達と飲んでるんだけど、終電を逃したから明日帰る」と夫に言われた時に、あっさりと許したことや、翌朝の帰りが始発ではなく昼前だった時にも特に問い詰めなかったこと、わたしが一度も会ったことのない“高校の友人たち”の存在を疑わなかったこと、「君がたまにしている、ひとり旅をしてみたい」と言われて、それも経験になると思って「行ってらっしゃい」と送り出したこと。

 少し「なんかヘンだな」といぶかしみながらも、「うちの夫に限って」と思って、深く考えることや、怪しむことをしなかった。だから、気が付いた時には、夫の不倫相手と夫を、不倫の関係に深く入り込ませることになってしまったのです。そうなんです。心にある疑いを見ないふりをしていた。そして見ないふりの結果が、こうなってしまったのです。

 既婚者の方で、「うちの夫、浮気してるかもしれない」と一度でも思ったことのある方がいたら、たぶん、その勘は当たっていると思っていいと思います。「うちの夫に限って」というのは、自分を安心させたいがためのごまかしです。そしてその「うちの夫に限って」を放っておくと、とんでもないことになる可能性があります。

 さなえは、わたしが不倫の事実を知る寸前の頃、思い詰めて「別れてあげるから、子どもだけ産ませて、絶対に迷惑はかけないから」と夫に再三、頼んでいたそうです。最初は「ありえないでしょ」と愚痴を漏らしていた夫でしたが、次第にさなえの行動がエスカレートしていくことに耐えかねて「子どもさえ残せば、別れられるのかな」と漏らしていたと、夫との共通の友人から教えられました。そこまで至る前に、事態があらわになって本当によかったです。気が付くのがもう少し遅ければ……と考えると、怖さしかありません。
(まほ)

最終更新:2019/05/17 19:50
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